[発表テーマ] 東葛地域を支える新技術
平成24年11月7日(水曜日) 14:00~17:00
東葛テクノプラザ(柏市) 1階 多目的ホール
【脳型情報認識デバイスSLIDのライセンスビジネスの創造】
代表取締役 井上 克己 氏
当社は新しい技術シーズと新しいビジネスモデルを社会に提供することを会社の使命として、平成22年に創業したベンチャー企業です。
現在、最も力を入れて取り組んでいる検索技術は、電気通信大学、同TLOキャンパスクリエイトと共同研究中の脳型情報認識デバイスSLIDです。
このSLIDはコンピュータ誕生以来の難題であるシステム効率の悪さのノイマンバスボトルネックを解決し、情報処理で最もハードルの高い認識処理を得意とする新しいタイプの情報処理半導体デバイスです。認識技術の基本となる技術はパターン認識で、その実現手段はパターンマッチ(配列の演算照合)であります。情報処理におけるパターンは幾つかの情報の集合(配列)で成り立ち、目的のデータがどのアドレスに配列されているかをパターンマッチする必要があります。SLIDはこのパターンマッチをCPUの力を借りることなく自分自身で実現するアルゴリズム(算法)を備えた半導体ですので、従来の一般的な逐次処理による認識と比較し、1万倍以上の処理速度(当社比較)で認識を実現することが可能となります。
これにより、CPUを情報検索から完全に解放(Search-Less)することが出来るのでコンピュータやそれを使った周辺装置は消費電流を抑え小型化され、CPUは本来の制御・数値演算機能に専念できる効果があります。
顔認識、指紋照合などの画像認識、音声認識、文字認識、DNA解析の分野など幅広く適用可能であり、このSLID技術により情報の認識や照合、検索に関わる技術は一新されます。
この技術は半導体はもとよりIT企業や装置メーカーの専門家から高い評価を頂くとともに、本年8月にはエレクトロニクス最高権威の学会であるIEEE(米国電気電子学会)から最優秀論文賞を頂きました。
現在のCPUやメモリの市場規模は共に5兆円規模であり、半導体産業は全世界規模では成長産業です。SLIDは近い将来携帯型のPCや情報端末に採用されることにより、半導体の売上だけでも数兆円産業に成長できると推定されます。これらの半導体技術のライセンスをビジネス化する産業は日本ではあまり見られませんが、低消費電力CPUをライセンスするファブレス企業である英国のアーム社は500億円/年以上のライセンス売上を達成する優良企業であり、参考にすべきライセンスビジネスのモデル企業の一つであると考えます。
今後は特許戦略をベースに、市場拡大のためのSLID周知のPR戦略が基本となります。電気通信大との共同研究など産学連携が効果的に成果を生み出しており、これらの産学官連携をさらに深めるとともに、SLID関連技術に対する特許を可能な限り出願し、商標権など知財全般に関する内容を充実いたします。
【デジタル画像処理ソフトの開発】 タブレット+拡張センサによる情報ツールの提供
代表取締役社長 小林 賢一 氏 総務管理本部長 本橋 亜也子 氏
当社は1990年に「技術屋の集団」を目標にして設立しました。設立当初より医用システムに携わり、これまでにLAMDIAシリーズをはじめとした多くの医用システムソフトを開発し、画像処理ソフトウェアや医用撮影装置組込みソフトウェアの技術を磨いて参りました。
画像処理技術ではGPU(画像高速演算処理)基板と組合せ、高速化を武器に新たな市場を開拓しています。組込み技術にはセンサと無線通信(ZigBee)を加え、センサで取得した情報を無線受信したPC側で解析するシステムを開発しました。さらに、センサ技術を応用した「見守りたまご」(高齢者向け遠隔管理)を試作し、その次の段階として、近年注目を浴び始め機動力もあるタブレット画面の情報量と各種センサの情報を融合し、『見えない情報の可視化』を『タブレット+拡張センサ』で実現し市場の開拓を目指しております。
これを具現化した商品である「赤外線サーモグラフィ≪LMTC-IT0100≫」 はセンサで得た遠隔情報(温度)をタブレット画面に表示・保存できるものです。特徴として、見易い大画面(9.4インチ:他社は2.8~3.8インチ)、1画面に重ねて撮影映像と温度情報が表示できる(8×8点情報)、表示モードの簡単切り替え、豊富な保存画像の種類である等、これまでには無い特徴のあるユニークな製品です。
従来の他社商品が『ハード志向』の製品に対し、当社製品はソフトウェア目線から『使用しやすいユーザインターフェース』を意識して、ハード(センサ開発会社)とソフト(当社)、それぞれの専門分野が協力することで、より使い勝手の良い商品に仕上げました。
当製品は、室内の温度等の環境管理のほか、電気・機械の保全チェック、暖房器具等の異常チェック、食品の保管における保存温度の測定などで、現場を離れて確認でき、一定時間毎に自動記録できることで多くの利用が考えられます。現在もセンサ開発会社と協力しながら、更なる機能アップを目指しています。
赤外線サーモグラフィの市場規模は、日本赤外線サーモグラフィ協会によるとここ3年間で、台数としては5,000台前後、売上として40億円前後とほぼ横ばいではあるものの、可視画像とサーモグラフィ画像の合成表示・取得データの解析システムなど、ソフトウェアによる差別化が始まった段階と捕らえています。
昨年より赤外線フェア(2012年は11月27日~29日に東京都立産業貿易センター浜松町館にて開催)が行われていることからも、新たな市場開拓が見込まれると考えております。
製品の基本は差別化戦略です。保存画像が7種類から指定できるモードは、現場を離れてから確認する業種の方へお勧めしたい機能です。定点連続撮影が可能なことで、一定時間毎の温度変化を記録するときでも常任担当者の必要もありません。また、カスタマイズにより機能拡充ができる点を広くお知らせすることにも重点を置いています。
今後は赤外線フェアにて市場で求められている機能の把握を行い、ニーズに沿ったバージョンアップを短期間で行うことを検討しています。
【世界初高速圧力制御バルブがもたらす次世代半導体製造装置の可能性】
業務執行役員 木村 美絵 氏
当社は半導体(SEMI), フラットパネルディスプレイ(FPD), 発光ダイオード(LED), ソーラーパネル(SOLAR)などの装置産業向けに、真空圧力制御バルブ(APCバルブ)を開発しています。このAPCバルブの技術は、当社代表社員のバイヤーズ エマニュエルがアメリカで10年以上に渡る研究開発で培ってきたノウハウを基に、日本で独自技術の革新により進化させ、世界初「Direct Drive機能を搭載した高速APCバルブ:HSPis振り子式真空バルブ」の開発に成功したものです。このHSPisバルブには、次のような特徴があります。
まず、バルブプレートの開閉スピードを大幅に改善し、開閉スピードが従来の1.5秒から0.3秒を達成しました。
また、10倍以上の製品寿命改善や機械構造の特徴からバックラッシュ(歯車の回転返り防止)の発生源を根絶しました。
これらを実現した事により、大幅な生産性の向上・製造コストの削減に大きく貢献しています。
競合会社製バルブから当社製高速HSPisバルブに乗せ替え、同じようにオペレーションを行った結果、競合会社では一つのレシピ完了まで308秒掛かりますが、当社HSPisでは295秒と13秒の時間短縮に繋がりました。この13秒が1年365日のオペレーションを続けることにより、年間4.3%のスループットの改善が行え、エンドユーザーの収益向上に大幅に貢献しました。この実績により現在、OEM・エンドユーザーから様々な期待がもたれています。
まず、設備投資として、次世代ウエハサイズ450mm向け半導体製造装置向け開発に対して、ダウンタイム(システム停止時間)の削減とスループットの改善を軸に国内外から開発依頼を受け、既に始動しています。
次に大幅な設備投資を行えない中小規模のOEM・エンドユーザーからは、既存の製造装置のAPCバルブを当社製HPSisに置き換えによるコストダウンとスループットの大幅改善が期待されています。
日本真空工業会(JVIA)統計からの市場予測として、真空バルブの市場は約120億円。その内、当社の調べによるHSPisバルブ(振り子式バルブ)の世界市場は約70%の85億円となっており、今後2015年には世界シェア20%の獲得を、2020年までには40%のシェア獲得を目指します。
最近の世界的動向としてウエハサイズの大型化が進み、次世代機450mm向けの半導体製造装置の開発が進んでいます。世界的に見るとOEMでは「日本と米国の大手メーカー」が水面下で新規製造装置開発を行っており、その企業搭載に向けた研究開発を進めていきます。
合計:88名
内訳:ベンチャーキャピタル 3名、証券会社 7名、金融機関 3名、監査法人 9名、コンサルタント 6名、一般企業 13名、支援機関 6名、行政機関(県・市) 8名、報道機関 2名、その他 4名、発表企業 6名、事務局 21名
公益財団法人 千葉県産業振興センター新事業支援部ベンチャークラブちば(事務局)
電話: 047-426-9200
ファックス: 047-426-9044
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