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今さら聞けない!非対面型ビジネス入門2 オンライン営業
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第1回「オンライン営業に必要なハードとソフト」
今回からオンライン営業について執筆させて頂く中小企業診断士の竹内幸次
です。よろしくお願い申し上げます。
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>>> オンライン営業が急激に普及
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Googleで「オンライン営業」と検索すると約497,000,000件のページが存在し
ます。とても多いです。オンライン営業やリモート営業はテレビCMも多く、ま
さにコロナの流行によって生まれた新時代の営業手法となりました。
中小企業経営の観点からオンライン営業を考えてみます。オンライン営業を武
器にすれば、従来は地元に限られていた営業範囲を全国に広げることも可能です。
移動時間がない、営業する人材がいない等の制約の中で我々中小企業は経営して
いるので、オンライン営業は積極的に活用していきましょう。
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>>> オンライン営業を始める際の準備
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(1)WEBカメラ等のリモート機器の準備
カメラ機能が内蔵されているノートパソコンであればとくにハード面の準備は
不要です。もし、デスクトップ型のパソコンの場合には以下を揃えましょう。
【ウェブカメラ】
多くのウェブカメラが売られているので、選択に迷いますよね。中小企業がオ
ンライン営業で使うことを考えると、まずはレンズの画角を選択しましょう。
ざっと広角レンズか、標準レンズか。広角レンズは、1台のパソコンの前に4人
等の複数人が座っているような営業に適した画角です。一方標準レンズは、パソ
コンの前に座った人のみが営業する時に適しています。
【マイク】
オンライン営業において音質はとても重要です。一般にノートパソコン内蔵マ
イクは指向性がなく、パソコンが置かれた場所の音を拾うので、相手には反響や
ノイズが聞こえてしまうことがあります。これを防止するためには、外付けマイ
クを使うことです。お勧めはUSB接続の有線ピンマイクです。ピンジャック(丸
いジャック)はノイズが出てしまうことがありますがUSB接続の場合には比較的
ノイズがでません。
【スピーカー】
職場からオンライン営業する場合には、周囲の会話や電話等の音もあるので、
イヤホンを付けた方が相手の言葉がクリアに聞き取れます。もし、オンライン営
業用の個室がある場合には、USB接続の小型スピーカーを付けると、相手の声を
大きくして聞くことができます。
(2)インターネット接続環境の整備
10Gbps等の高速インターネット接続とWi-Fi6等の高速ルーターの利用が理想で
すが、Zoomの場合、データ送受信力が高いため、10Mbpsほどのスピードでも円滑
なリモート会議が可能です。
(3)リモート会議に使用するオンラインミーティングツールを選択する
今後も増加するものと予想しますが、現時点での主なオンラインミーティング
営業ツールを挙げます。
【Cisco Webex(シスコウェベックス)】
1996年に設立されたWebex社が提供するオンラインミーティングツールです。
Windows、macOS、Android、iOS等主要な環境に対応するため、以前からWebexを
使っているという企業は大企業等に多いものです。
【Zoom(ズーム)】
シスコシステムの副社長が2011年に設立したのがZoom社です。2013年からオン
ラインミーティングシステムであるZoomのサービスを開始しました。現時点では
オンラインミーティング営業ツールの中でもっとも知名度が高く、教育分野や一
般生活にも普及しています。
【Google Meet(グーグル・ミート)】
Hangouts Meetとして提供されていましたが、2020年4月からはGoogle Meetとし
て提供されているビデオ会議システムです。パソコンでもスマホでもGmailの画面
内にGoogle Meetが表示されることから、手軽に利用できることが特徴です。
以上です。次回は「営業先企業の見つけ方とアプローチ」です。お楽しみに!
第2回「営業先企業の見つけ方とアプローチ」
中小企業診断士の竹内幸次です。
前回の「オンライン営業に必要なハードとソフト」に続いて今回は「営業先
企業の見つけ方とアプローチ」について説明します。
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>>> 新規営業先との初期接点の作り方
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Zoom等のオンライン営業ツールを使いこなすことができても、肝心な営業先の
企業とアポイントをとらなければ元も子もありません。以下のようにしてオンラ
イン商談のアポイントをつくりましょう。
(1)ホームページ等のSEO強化
たとえば「輸入ドライフルーツ オンライン商談」等のキーワードで検索した際
に自社のホームページを上位に表示させるようにSEOを行います。
SEOはSearch Engine Optimization=検索エンジン最適化と言って、閲覧者や
Googleの検索順位決定ルールに自社のホームページづくりを合わせることを言い
ます。
一般的にはホームページの中のページにオンライン営業を受け付ける専門の
ページ(このことをランディングページと言います)を作ります。そしてそのページ
のソースコードのtitleに「輸入ドライフルーツ オンライン商談受付」等と記入
するとよいでしょう。
(2)SNSへの広告
ネット上の広告ではGoogle等の検索ページを使った広告が一般的でしたが、近年
ではSNS上に広告を出すことも増えています。SNS広告はターゲット地域やターゲット
の興味等を絞り込みやすいため、SNS広告をクリックして、自社のオンライン商談
受付ページにアクセスを集めることが得意です。なお、広告を出す際には広告費用に
上限を設けるようにしましょう。
(3)eight等の名刺管理アプリの活用
サンサン社が運用するeight(エイト)(https://8card.net/)は名刺を登録する
だけではなく、オンラインで名刺を交換する仕組みです。「ビジネスのためのSNS」と
うたっており、検索機能を使えば、たとえば県内の大手企業に現役で勤務する人の
部署名や人名まで分かります。フェイスブックのように日常の様子を公開するのでは
なく、あくまで名刺を背負っての投稿なので、ビジネスに有効な情報が得られるほか、
オンライン営業先の企業や担当者も見つけやすいのです。
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>>> オンライン営業のアプローチ方法
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(1)オンライン商談希望メールが届いた際の対応
SEOとSNS広告の成果が出て、オンライン相談やオンライン商談の受付フォーム
メールが入ったら、以下のようにアプローチをしましょう。
オンライン商談を受け付けたこと、および先方が希望した日時のうち、当方で対応
可能な日時を返信する。
▽
オンライン商談の日時が確定する。
▽
事前に共有したほうがよいデジタル資料がある場合には、互いに送受信する。
▽
オンライン商談当日朝に、「本日○時からのオンライン相談の際のZoom情報です。」
等の内容の確認メールを送信する。
(2)こちらからメールやSNSでアプローチする場合
オンライン名刺アプリ等から営業先の企業と担当部署が分かったら、こちらから
オンライン商談の申込メールを送信します。
オンライン商談先の企業名と担当(であろう)部署名のリストアップ。
▽
連絡先の受付メールアドレスが公開されている場合には、丁寧にメールを送信する。
▽
eight等のオンライン名刺アプリで相手部署や氏名が分かっている場合には、オンラ
イン名刺交換を依頼してみる(拒絶されることが多いことは覚悟しておきましょう)。
以上です。次回は「Zoomを使った基本的なオンライン商談法」です。お楽しみに!
第3回「Zoomを使った基本的なオンライン商談法」
中小企業診断士の竹内幸次です。
前回の「営業先企業の見つけ方とアプローチ」に続いて今回は「Zoomを使った
基本的なオンライン商談法」について説明します。
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>>> オンライン営業にZoomが適している理由
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2020年11月26日配信の「オンライン営業に必要なハードとソフト」で説明しまし
たが、数あるオンラインミーティングツールの中でもZoomの知名度や使用度は群を
抜いています。オンライン営業を実現する際の最初の壁は、商談相手がそのオンラ
インツールを使ったことがあるか、ということです。使ったことがないツールをこ
ちらが指定しても、相手は”何かデータを取られるのではないか?”と疑心暗鬼に
なることでしょう。デファクトスタンダード(事実上の標準)のツールを使うこと
は大事です。
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>>> オンライン営業の際にZoomホストが行うとよい設定と説明
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それでは実際のZoomを使って、オンライン商談を行う際の大切なポイントを整理
しましょう。
(1)安全性の設定と説明
オンラインツールが情報セキュリティの面で危険だと思っている人も少なくあり
ません。このため、ミーティングが開始された直後に以下の設定を行うようにしま
しょう。
・ミーティングをロックする。ホスト画面のみにある「セキュリティ」の中にある
「ミーティングのロック」をします。ロックされたミーティングはその時点のミー
ティング参加者以外は入室できなくなります。
・データセンターの選択。これもホストのみの機能ですが、ミーティング画面の左上
の緑色のチェックをクリックすると、接続されているデータセンターを確認すること
ができます。事前にZoomサイトからデータセンターを「日本のみ」にしておき、商談
相手には「日本のデータセンターを介してZoomを行っています」等と説明すると、
商談相手は安心するかもしれません。
(2)適切な名前にする
Zoomはミーティング参加後にもホストを含めて参加者の表示名を変えることができ
ます。例えば「竹内幸次」と表示するよりも、「営業部 竹内幸次」のように部署名を
表示した方が商談相手にとって理解しやすいでしょう。
(3)適切なビデオ画像に調整する
Zoomに映る自分のビデオ画像を調整します。画角や画面内の自分の位置、明るさ等
です。Zoomは外見補正機能や低照度調整機能、そしてビデオフィルター機能があるの
で、自社のブランディングの観点からビデオ画像の映り方にはこだわるようにしましょう。
(4)参加者の画面の共有を許可する
ホストにのみある設定ですが、セキュリティから「参加者に次を許可:画面の共有」
にチェックを入れるようにしましょう。Zoomミーティングをオンラインセミナーのよう
に使う際には画面の共有はホストのみにした方が安心ですが、1対1の商談の場合には、
互いに自分のパソコンの画面を相手に見せることができた方が円滑に進みます。
以上です。次回は「訴求力をぐっと高めるオンライン営業法」です。お楽しみに!
第4回「訴求力をぐっと高めるオンライン営業法」
中小企業診断士の竹内幸次です。
前回の「Zoomを使った基本的なオンライン商談法」に続いて今回は「訴求力を
ぐっと高めるオンライン営業法」について説明します。
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>>> オンラインプレゼン力をアップする
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Zoom等でオンライン商談を行うことは目的ではなく手段です。経営としての
目的は受注を得ることです。オンラインでも訴求力をぐっとあげて受注につな
げるプレゼンテーションをすることができます。オンラインでのプレゼン力アップ
のためには、以下を行いましょう。
(1)受容する
受容とは、交渉相手の話を非審判的、許容的に、頷きと相槌を打ちながら聴く
こと(傾聴)です。議論するのではなく、受け止めます。
・手元ノートやオンラインチャット等にメモを取る
・発言者の顔を見て聞く(時々レンズを見て目線を送る)
・頷きながら聞く(時々レンズを見て目線を送る)
(2)支持する
「おっしゃる通りだと思います」「そうなると私も思います」等と支持の言葉
を返します。相手を認めることで、商談先との心理的な距離を縮めて信頼を形成
しましょう。
(3)繰り返す
商談先の言葉のポイントをまとめて、それを相手に投げ返しましょう。ポイン
トを復唱するのです。
(4)明確化する
商談先が、何となく気がついているけれど、まだ意識化していないことを先取
りして言語化(意識化)しましょう。
明確化の例)
商談先:「うちは、発注時期がタイトなことが多いのですよね…」
自社 :「弊社は納期管理にも柔軟に対応できます。」
(5)質問
質問は、商談先を支援する情報を得るために行うものです。商談においても、
流れを作るのは質問なのです。つまり質問者は交渉話題の主導権を得ることが
できるのです。
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>>> バーチャル背景に名刺情報を入れる
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eight等のオンライン名刺アプリを利用すると、Zoomのバーチャル背景を自動的
に生成してくれます。(https://8card.net/my_profile/online_exchange/download)
いわゆるバーチャル名刺です。会社名や部署名が文字になるだけでなく、QRコード
が表示されるので、画面越しに商談先がスマホでQRコードを読めばオンラインで名
刺情報を商談先に伝えることができます。
例示)eightで作成した筆者のバーチャル背景
https://ssl.spram.co.jp/eightvirtual.png
オンライン商談を次の展開につなげるためには、eight等のビジネスSNSでつなが
ることはとても有効です。
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>>> Zoomのコメント機能を使って図解する
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Zoomではホワイトボード機能や共有された画面に、参加者双方が描画コメントを
付けることができます。
例示)
https://blog.goo.ne.jp/2300062/e/737f856f7ec23d159eff438b866bd6a7
このコメント機能は双方が自分のパソコンに画像として保存することができるの
で、商談決定事項を共有することができます。
以上です。4回にわたってオンライン営業について説明させて頂きました。
ウィズコロナの販路開拓で欠かせないのがオンライン営業です。皆様、頑張って
いきましょう!
株式会社スプラム 代表取締役 竹内 幸次
(https://www.spram.jp/)
公益財団法人 千葉県産業振興センター総務企画部企画調整課 産業情報ヘッドライン
電話: 043-299-2901
ファックス: 043-299-3411
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