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千葉県産業情報ヘッドライン【連載特集】「中小企業の人事・経営者が実践できるハラスメント対策最前線」バックナンバー

  • [2022年3月24日]
  • ID:3177

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      中小企業の人事・経営者が実践できるハラスメント対策最前線
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     第1回「パワハラ防止法とは?パワハラの定義とは?」

 皆さん、はじめまして。特定社会保険労務士の吉田悦子です。
 今回から6回にわたって、中小企業におけるハラスメント対策について説明し
ていきます。第1回目は「パワハラ防止法とは?パワハラの定義とは?」がテー
マです。

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パワハラ防止法とは?
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 今年2022年4月1日から、中小企業の事業主に対して、パワハラの防止対策が
義務付けられます。
 これは、2020年6月に施行された労働施策総合推進法の改正によるものです。
これまで中小企業に対してパワハラ防止対策は「努力義務」として猶予期間が
設けられていましたが、今年の4月からはとうとう「義務」となります。つまり、
今年の4月からは規定のパワハラ対策をしなければ、行政による是正指導の対象
になり得るということです。
 「パワハラ防止法」とは、この労働施策総合推進法(労働施策の総合的な推
進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)のことを指
します。

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パワハラの定義とは?
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 「何か注意したらすぐパワハラと言われてしまう…おかげで部下を指導をす
るときに必要以上に気を遣ってしまう」といったお悩みを事業主や管理職の方
達からお聞きすることも近年多くなってきました。
 職場におけるパワーハラスメントとは、職場において行われる(1)優越的な
関係を背景とした言動であって(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものに
より、(3)労働者の就業環境が害されるものであり、(1)から(3)までの3つ
の要素をすべて満たすものをいう、と定義されています。

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上司→部下に対する言動だけがパワハラ?
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 (1)の「優越的な関係を背景にして」とは、上司から部下への言動に限りま
せん。たとえば、パソコン知識の乏しい上司に対して部下が、「こんなことも
知らないんですか?とんだ給料泥棒ですね」などと執拗に言って嫌がらせをし
た場合、これもパワハラに該当する可能性があります。なぜなら、部下は「上
司にはないパソコン知識」という優越的な関係を背景に嫌がらせをしているか
らです。もちろんこれは同僚同士にもいえることです。

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大声で叱ったらパワハラ?
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 そして、(2)に「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」という要素があ
ります。業務上適正な範囲内での指導や注意であればパワハラには該当しませ
ん。たとえば、危険な作業を行う現場でよそ見をしていた部下に対して「何し
てるんだ!」と大声で叱ってしまったとしても、それだけをもってパワハラと
は言い切れません。なぜなら、生命の危険に関わる現場であり、緊急性を考え
ると業務上必要であるとも考えられるからです。しかしこれが、長時間大声で
怒鳴り続けたり、他の従業員への見せしめのようにして叱ったりした場合はパ
ワハラと判断される可能性は高いです。

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「こんなひどいことをされた!」と感じたらパワハラ?
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 さらに(3)の「労働者の就業環境が害される」かどうかは、平均的な労働者
の感じ方で判断されます。つまり、その言動をされた労働者の主観的な感じ方
のみではなく、一般的な労働者が同様の言動を受けたとしても、看過できない
ほど就業環境が害されていると感じるかどうかで判断されます。

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ハラスメントは企業にとって大きなリスクとなり得る
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 しかし、実際に従業員から職場でパワハラ被害にあったとの申し出があった
際、安易に「これはパワハラではない」と判断して対処を怠ることは大変危険
です。
 パワハラ含め職場でのハラスメントは、社内で適切な対処を行わないと、意
欲の低下による業績不振や貴重な人材の損失、ひいては損害賠償請求やSNS
による拡散・炎上など、様々な企業リスクに繋がる可能性が高いためです。

 次回は、「中小企業に義務付けられるパワハラ防止対策」について、具体的
に解説をしていきます。


     第2回「中小企業に義務付けられるパワハラ防止対策」

 特定社会保険労務士の吉田悦子です。
 全6回の連載・第2回目は、2022年4月より中小企業に義務付けられるパワハラ
防止対策について具体的に説明していきます。

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事業主の方針等の明確化と周知・啓発
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 まず、パワハラを行ってはならないということを、しっかりと事業主の方針
として明確化して社内に示すことが必要となります。職場のパワハラは一度発
生してしまうと解決に多くの労力と時間を要します。未然防止するためにも、
企業としてパワハラを許さないという強いメッセージとルールの規定が重要で
す。
 どのような行為がパワハラとなるか、パワハラ行為者にはどのような厳正な
対処が行われるか、その具体的な内容や懲戒規定を就業規則等に定め、それら
を周知・啓発していきましょう。どのように就業規則に規定したらよいかわか
らない場合は、社会保険労務士に相談したり、千葉労働局の就業規則例を参考
にされるとよいでしょう。

(千葉労働局)
https://jsite.mhlw.go.jp/chiba-roudoukyoku/roudoukyoku/gyoumu_naiyou/kintou/roudousesaku.html
 
 その他、管理職層を中心にハラスメントに関する研修を受講させることでも
理解と意識を高めることができます。

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相談窓口の設置
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 次に、従業員が相談できる相談窓口の設置が必要です。できるだけ初期の段
階で相談してもらえるように、相談しやすい仕組みづくりがされていることが
重要です。相談者の秘密は守られること・不利益な取り扱いをしないこと・相
談窓口ではどのようなことをするのかなどを明確にしておきましょう。
 社内に相談窓口を設置する場合は、管理職や従業員を相談員として選任した
り、人事労務担当部門やコンプライアンス担当部門、産業医やカウンセラー、
労働組合が担当するといった方法があります。
 しかし、ハラスメント被害者にとって、社内窓口では話しづらかったり、中
立性の確保に疑問があったりと不安があるのも事実です。その他、相談窓口に
人員を割けないといった企業側の問題も考えられます。その場合は、弁護士や
社会保険労務士、ハラスメントなどの相談窓口の代行を行っている外部機関等
を利用して、社外相談窓口を設置する方法があります。

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相談担当者の対応方法
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 パワハラ相談があった場合、その一次対応をする相談担当者の役割は大きく
ハラスメントや人権問題への十分な理解と、カウンセリングマインドを持った
取り組み方が必要とされます。
 相談時間は1回50分までというように一定の時間で区切った上で、その時
間内、相談者の話を急かすことなくじっくりと聴くことが重要です。相談が1
回で終わらなかった場合には、次回相談日を設定してまた話を聴きましょう。
まずは「相談したら誠実に対応してもらえた」という実感を相談者に持っても
らい、信頼関係を築くことが問題解決の糸口に繋がります。
 その後、相談者の了承を得た上で、行為者や第三者への事実確認を行います。
話を聴く人数が増えるほど問題が外部に漏れやすくなりますので、守秘義務に
ついて十分理解してもらい相談者のプライバシーを保護しつつ、行為者には
「報復は厳禁である」ということもしっかり伝えましょう。
 その上で、相談者・行為者へのとるべき措置を検討、両者へのフォローとと
もに、再発防止策を検討していきましょう。人事担当や相談者の上司、カウン
セラーとの連携を取りつつ、メンタル不調が疑われる場合は産業医等の医療へ
繋げるルートも確保しておきましょう。

 次回は、「パワハラと指導の違いとは?」について、具体的に解説していき
ます。

 

     第3回「パワハラと指導の違いとは?」

 特定社会保険労務士の吉田悦子です。
 全6回の連載・第3回目は、「パワハラと指導の違いとは?」について具体的
に説明していきます。

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パワハラの代表的な言動の6類型
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 パワハラに該当すると考えられる代表的な言動には6つの類型があります。
1.身体的な攻撃(殴る・蹴りを入れるなどの暴行・傷害)
2.精神的な攻撃(人格を否定するような侮辱・暴言・脅迫)
3.人間関係からの切り離し(特定の社員を仲間はずれにする・無視する)
4.過大な要求(明らかに不要な仕事や遂行不可能な仕事を強制する)
5.過小な要求(能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる・仕事を与
えない)
6.個の侵害(家族・思想信条などプライバシーに過度に立ち入る)
 これらの例は「これを言ったら/したら」パワハラに該当するという限定列
挙された例ではありません。状況等により変わってくることがあります。社内
でパワハラ被害の申告があった場合、十分に状況を確認し、微妙なものも含め
て広く相談にのり、改善策を講じる必要があります。

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その行為の「目的」は指導なのか?攻撃なのか?
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 客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指導や指示
についてはパワハラには該当しません。
 業務上の必要性があるかどうかを判断するポイントとしては、その行為は相
手の成長を促すための行為なのか、それとも自分の怒りなどの感情をぶつけた
り相手を委縮させ言うことを聞かせたり辞めさせたりするための攻撃的な行為
なのかという、行為者の「目的」を考えてみるとわかりやすいでしょう。
 たとえば、勤務態度の悪い部下を注意するのに、口で注意しても聞かないか
らと暴力をふるったり、個別に叱っても平気そうにしているから皆の前で長時
間怒鳴り続けた場合、はたしてその指導は部下の成長をもたらすのでしょうか
?ただ威圧して部下の行動をコントロールしたいだけではないでしょうか?自
身の衝動的な怒りを晴らすだけの行為ではないでしょうか?

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叱責するときは「事実に基づいて具体的に」
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 部下を叱ったらすぐパワハラになってしまうのかというと、そうではありま
せん。仕事をする上で、時には厳しい指導が必要な場面があるのは当然のこと
です。ただし、その叱り方は「事実に基づいて具体的に」表現するとよいでし
ょう。
 たとえば、「お前はうまくできたためしがないじゃないか」「いつもそうだ
」という感情論で叱責するのではなく、「今回納期に4日も遅れている」「1
つのレポートの中に3つミスがあった」というように、具体的に指摘すること
が大事です。
 その上で改善策を提示するなど、ミスを責めて孤立させるのではなく、あく
まで育成のために必要な指導であるという対応が必要となります。

 次回は、「パワハラの起きない職場づくり」について、具体的に解説してい
きます。


     第4回「パワハラの起きない職場づくり」

 特定社会保険労務士の吉田悦子です。
 全6回の連載・第4回目は、「パワハラの起きない職場づくり」について具
体的に説明していきます。

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パワハラが起こる職場の特徴
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 「職場のハラスメントに関する実態調査(令和2年度)」によると、パワハ
ラ経験者の職場の特徴として「上司と部下のコミュニケーションが少ない/
ない」「ハラスメント防止規定が制定されていない」「失敗が許されない/
失敗への許容度が低い」「従業員間に冗談・おどし・からかいが日常的に見ら
れる」等の項目が挙げられています。
 同調査では、パワハラを受けた後の行動として、「何もしなかった」の割合
が35.9%ともっとも高く、その理由は、「何をしても解決にならないと思った
から」「職務上不利益が生じると思ったから」が多く挙げられています。
 在職中に改善を訴えるようなことをすればどんな制裁を受けるかわからない、
改善されるはずがないという諦めから沈黙が守られ、気づいたときには離職や
周囲の意欲低下、ひどければ被害者の自殺や損害賠償請求に繋がるという危険
性をはらんでいるといえます。

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職場のコミュニケーション改善
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 たとえば部下を叱った場合も、コミュニケーションが十分取れている職場で
あれば上司がその後のフォローをすることも可能ですし、叱られた部下も「普
段親身に指導してくれる上司だから」という信頼関係から素直に受け止められ
ます。
 しかし、これが雑談も許されないようなピリピリとした職場だったり、上司
や先輩社員が威張り散らしているような職場だと、上司が必要以上に感情的に
叱責してしまったり、叱責された部下が周囲のフォローを受けられず孤立して
しまったり、報復を恐れていじめや嫌がらせに便乗してしまったり、という可
能性が高まります。
 業務上の適切な指導をする上でも、普段から職場の風通しのよさが重要とな
ってきます。

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「問題社員」は本当に「問題社員」なのか?
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 「毎朝寝坊をして遅刻してくる」「注意をしても言い訳ばかりしたり逆ギレ
したりする」「何度指摘しても同じミスを繰り返す」こういったいわゆる問題
社員を抱えてお困りの経営者、人事担当者の方も多いかもしれません。これら
はただ単に性格の問題として片付けられないケースもあります。
 たとえばうつ状態になると、疲労を感じやすくなったり、頭が回らなくなっ
たりして作業効率が落ちます。自責感が過剰に高まるため、注意されたことを
必要以上に攻撃されていると捉えたり、ミスを隠そうとしたりする傾向が表れ
ることもあります。
 これらは本人に注意・指導したから改善されるということはなく、逆に本人
がうつ状態を抱えたまま社会生活を無理して送ることで悪化していくことも考
えられます。
 単に「問題社員」として片付けるのではなく、社員の心身の状況をしっかり
と把握し、必要に応じて適切な対処をしていくことが重要となります。

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パワハラを許さないという企業姿勢と社員教育
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 相談窓口を設置したがパワハラ相談などほとんど来ない。つまり我が社では
パワハラなど起こっていないのだ。そう結論付けるのは性急です。なぜなら、
その制度は作っただけで形骸化している可能性も考えられるからです。
 まずは企業として「パワハラを起こさない・許さない」という姿勢の徹底と
相談をしてもプライバシーは守られる・不利益な取り扱いをされないという安
心感のある仕組みづくりが必要となります。
 いじめ・嫌がらせが常態化している職場の場合、パワハラをしてはならない
といくら言っても、当事者は他人事だと捉えている可能性も高いです。ハラス
メント研修を行うことで、「それってパワハラじゃない?」と周囲が指摘がで
きるような環境にしていくことも効果的です。

 次回は、「日本社会でハラスメント問題が起き続ける理由」について、具体
的に解説していきます。


     第5回「日本社会でハラスメントが起き続ける理由」

 特定社会保険労務士の吉田悦子です。
 全6回の連載・第5回目は、「日本社会でハラスメントが起き続ける理由」に
ついて具体的に説明していきます。

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「ハラスメント」という言葉が使われるようになったきっかけ
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 「ハラスメント」という言葉が日本で使われるようになったのは、1989年に
福岡で起こされたセクシャルハラスメントを争点とした裁判がきっかけだとい
われています。「セクハラ」は同年の流行語大賞にも選ばれ、テレビや雑誌で
盛んに取り扱われ話題となりました。
 しかし、職場での性的な嫌がらせ自体は以前から存在していました。これま
では我慢してやり過ごすしかなかったそれらの嫌がらせ行為が、この裁判で初
めて人権侵害にあたるということが認められたことにより、世間にハラスメン
トという概念が広がったのです。

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増え続けるハラスメントの種類
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 代表的なパワハラ、セクハラの他に、マタハラ(=マタニティハラスメント)
があります。マタハラとは、女性の妊娠・出産・子育てを理由とした嫌がらせ
や不利益な取り扱いのことです。昨今では、男性の育児休業取得や、育児支援
目的の短時間勤務やフレックス勤務などの制度を活用することを妨害したり、
制度利用をしたことで不利益な取り扱いをするパタハラ(=パタニティハラス
メント)という言葉も一般的に使われるようになりました。
 その他、顧客等がその優位な立場を利用して従業員などに過剰なサービスを
要求したり、悪質なクレームを出してくる行為を指すカスハラ(=カスタマー
ハラスメント)、LGBTなどの性的指向・性自認に対する差別的な発言や嫌
がらせを指すSOGIハラ、テレワークの浸透によりオンライン上で行われる
パワハラやセクハラを指すリモハラ(=リモートハラスメント)、就職活動中
に受けるセクハラや内定を出すかわりに就活終了を強要するオワハラを含む就
活ハラスメントなど…ここには書ききれないほどあります。
 人々のハラスメントに対する認識が広がり、2017年のアメリカに端を発した
“#Me Too”運動なども相まって、ハラスメントに対して声を上げていこ
うという機運が高まっていると考えられます。

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年齢・性別・雇用形態などが生み出す「強者」と「弱者」
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 日本では年功序列が色濃く残る企業も多いです。女性活躍推進が謳われるよ
うになったとはいえ、管理職の多くは男性が占めています。正社員と非正規社
員との格差もいまだ埋まらない状態です。そんな中、組織内のヒエラルキー上
位に属するいわゆる「強者」に嫌われたらこの組織で生きていけない、という
意識が下位に属する者に働くと同時に、「強者」はそのパワーを行使するのは
当然の権利だという意識を持ちます。
 この力関係が、部下には少しぐらい辛く当たってもいい・異性を性的にいじ
ってもいい、といったハラスメント行為者を増長させる温床になっているとも
考えられます。

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ハラスメントを禁止する法律が日本にはない
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 職場でのセクハラやパワハラなどのハラスメント行為を禁じるILO(国際
労働機関)条約が2021年6月に発効し、ハラスメントは「身体的、精神的、性
的、経済的危害を引き起こす行為と慣行」と定義され、ハラスメントを法的に
禁止するよう日本を含む加盟各国に求められています。
 しかし、現在の日本では、パワハラやセクハラ等に対する防止措置を義務付
ける法律はあっても、行為自体を禁止する法律がありません。ハラスメント防
止対策を講じる企業が増えていっても、ハラスメント自体が根絶されない原因
はここにあるとも考えられ、早急な法整備が必要とされています。

 次回は、「中小企業でもできるハラスメント対策」について、具体的に解説
していきます。


      第6回「中小企業でもできるハラスメント対策」

 特定社会保険労務士の吉田悦子です。
 全6回の連載・最終回の今回は、「中小企業でもできるハラスメント対策」
について具体的に説明していきます。

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なぜハラスメント対策が必要なのか
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 社内でハラスメント対策を行う際、その理由はなんでしょうか。法的に義務
付けられるから?訴えられるようなリスクを避けたいから?社員の離職率を下
げたいから?
 理由は様々あるかと思いますが、まずは「従業員にとって働きやすい職場環
境を整えるため」という意識が必要だと私は考えます。そうでないと、「何を
したらアウトなのか」という考えから抜けられず、社内のハラスメントをなく
すための意識改革は難しいからです。
 給与や待遇などの外発的動機付けだけでは、従業員のモチベーションは短期
間しか維持することはできないと言われています。継続的に従業員の仕事に対
するモチベーションを上げ、自発的な行動や労働生産性を上げるためには、
「この会社で働き続けたい」と感じられる内発的動機付けが必要です。そのた
めにも、いじめ・嫌がらせのない職場環境は重要になってきます。

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ハラスメントに対する正しい知識を得る
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 しかし、中小企業ではハラスメント対策にさける予算や人員が限られ難しい
という問題があります。ぜひ無料で利用できるサイトや制度を積極的に利用し
ましょう。
 基本的なハラスメント情報や、他社でのハラスメント防止対策の取り組み事
例や、社内啓発活動に利用できる動画やポスターや防止対策マニュアル等がま
とめられたサイト「あかるい職場応援団」は、社内でどのようなハラスメント
対策を講じるか検討する上でも大変参考になります。
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/

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無料相談やセミナーの利用
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 現在、千葉労働局による「ハラスメント対応特別相談窓口」が2022年3
月31日まで開設されており、企業の担当者も相談することができます。
https://jsite.mhlw.go.jp/chiba-roudoukyoku/harassment_2021Dec.html

 自治体や各種団体によるハラスメント対策セミナーが無料で行われることも
多く、ぜひアンテナを張って情報収集していただき、近場で参加しやすいセミ
ナーがあったら参加してみていただくのもよいでしょう。

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社会保険労務士の活用
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 ハラスメント防止対策を盛り込むため就業規則を改定する際は、専門家であ
る社会保険労務士に相談していただくこともご検討ください。もしかすると、
顧問の社会保険労務士がいる場合は頼みやすいが、顧問がいない場合はどうし
たらよいか?とお悩みになっている方もいるかもしれません。その場合、千葉
県社会保険労務士会では毎週水曜日に総合労働相談所を開設し、事業主や人事
担当者からの相談も無料で受け付けていますのでぜひご利用ください。
https://www.sr-chiba.org/consult/free

 就業規則の改定に限らず、社内のハラスメント対策や、すでに起きているハ
ラスメント問題解決についてもご相談にのることができます。

 全6回の連載を通して、中小企業の人事・経営者が実践できるハラスメント
対策について解説させていただきました。最後までお読みいただきありがとう
ございます。社内でのハラスメント対策が十分に行われ、社員の皆様が生き生
きと働ける職場環境が作られることを願っております。

                 よしだ社会保険労務士事務所 吉田 悦子
                https://www.roudousoudan-yoshida.com/
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