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◆ 連 載 ◆
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ワークエンゲージメントを上げるコーチングスキル
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第1回「成長を促す期待とは」
今、ワークエンゲージメントを高めることが注目されています。
それは、働いている人一人ひとりが、仕事に誇りを感じ、熱心に取り組み、
仕事から活力を得て活き活きしている状態をいいます。
コーチングスキルというコミュニケーションでその状態を自らつくることができます。
その中から今回は、「期待する」というスキルをお伝えします。
さて、人は周囲からの期待に応えることで、自分の存在や価値を実感でき、
自信がもてるようになります。ですから、あなたが相手にどのような期待を
しているかは、思っている以上に結果に影響を及ぼします。
私が印刷会社で働いていた頃、優れたデザイナーを採用したいと思い、
専門学校の就職相談室に相談に行ったことがあります。
対応された先生が推薦した学生がA君でしたが、迷いました。
何故なら、その学生はデッサンの成績が低かったからです。
私のその迷いを打ち消すかのように、先生はきっぱりと言いました。
「A君はクラスの中でも目立つほうではありませんが、存在感があります。
クラスで揉め事があると、まるく収めてくれます。性格もとても真面目ですし、
こつこつあきらめずに取り組む誠実さもあります。御社の信頼ある社風に
合っていると思います。遅咲きタイプですが、5年後には必ずや御社の
リーダーとして活躍できる人材です」
先生がここまで言うならばと、A君の採用を決めました。
しかし感じていた懸念は事実となり、A君はデザイナーとして
なかなか結果が出ません。
見かねた社長が、営業をやってもらったほうがいいんじゃないかと
言うこともありました。
しかし、今から考えれば不思議ですが、私はその度ごとにA君をかばっていたのです。
「もう少し、長い目で育てましょう」
「この前は、こういうことができるようになっていました」
「こういうことをしてくれて、とても助かっています」
などのように。
そうしているうちに、社長のA君への指示が、目に見えて変わってきました。
「これをやっておいて」だけでなく、進める上で参考になりそうなデータや
デザイン案も併せて渡したり、デザインのコツを教えたり、励ましたり、
時にはお客さまのところに一緒に連れて行ったり。
社長がそうなれば、周りの社員もそれに倣ってきます。
そのような環境の中で、A君は確実にデザインチームのリーダーに育ってきました。
それも5年も待たず、3年で。
A君は、私たちが「こうなるだろう」という期待に見事に応えたのです。
何がこの結果を生み出したかというと、やはりあの先生の一言だったと
思わざるを得ません。
「彼は遅咲きタイプですが、5年後には必ず御社のリーダーとして活躍できる人材です」
という、先生のA君への強い期待。
それに私が影響を受け、その私から会社の人たちが影響を受けた…。
あなたは相手にどのような期待をかけているでしょうか。
「彼は手際が悪い。ここの仕事はそう長く続かないだろう。」
そんなネガティブな期待をかけていますか?
それとも、「彼は周りの人の相談によくのっている。最近、職場の雰囲気も明るくなった。
きっと営業担当者として活躍するだろう。」とポジティブな期待をかけているでしょうか?
それによって、あなたの内側に満たされる「気持ち」まで違ってきます。
前者には「あきらめ」を、後者には「希望」を感じるのではないでしょうか。
人は無意識に相手の期待に応える、という心理的な傾向があります。
あなたの相手への期待は、相手の成長の障害になっているものでしょうか。
それとも、力強い促しになっているでしょうか。
第2回「聴き上手の効用、あなどれず」
今、ワークエンゲージメントを高めることが注目されています。
働いている人一人ひとりが、仕事に誇りを感じ、熱心に取り組み、仕事から
活力を得て活き活きしている状態をいいます。
コーチングスキルというコミュニケーションでその状態を自らつくることができます。
今回はその中から「聴く」スキルをお伝えします。
印刷会社に勤めていた頃、Sさんという経理担当の方がいました。
彼女の報告の仕方は、思いつくままに言葉を並べるので、一文の長さがやたら長い。
要領を得ない彼女の話に「もっとわかるように話してよ」とイライラし、
「猪俣さん、ちょっといいですか?」と声をかけられるたびに、またダラダラした
話を聞くのかと、ストレスさえ感じるようになっていました。
もちろん、報告は結論から簡潔に話してほしいとお願いもしました。
その都度Sさんは、「あっ、すみません。そうですよね。気をつけます」と言うものの、
どれくらい改善されるかというと、期待にはほど遠い状況でした。
そんな愚痴めいたことを考えていた時、ふと思ったのです。私はSさんにとって、
「良い聴き手」であったかと。忙しいことを言い訳に、イライラした表情や
相づちを打ちながら聞いているのではないかと。Sさんが落ち着いて最後まで
話し終わるまで聴く態度を見せたら、何かが変わるかもしれない、と。
その翌日のことです。私が顧客先に出かけようとすると、「あっ、猪俣さん、
ちょっと待ってください」と、案の定、Sさんに呼びとめられました。
今までの私なら立ったままで、椅子に座っているSさんを見下ろすかのような
態度で聞いていました。しかし、その日は空いている椅子を動かしてSさんの近くに座り、
目の高さを合わせました。相づちは、Sさんが話しやすいようにリードするイメージを
描きました。
Sさんを穏やかな視線で見るようにして、会話のつなぎ目とつなぎ目に、
ゆっくりと頷きを入れて。
「忙しいから早くして」ではなく「どうぞ、そのまま安心して続けて。
ちゃんと聴いているから」というメッセージを視線で送りながら。
そのようなことが3回ほど続いたでしょうか。期間にして一週間もたたない頃、
Sさんの報告の仕方が大きく変わったのです。結論から話すようになり、要点も整理され、
報告する時間が3分の1ほどになりました。
かえって話し足りていないところはないかと心配になり、Sさんに訊いてみると、
「最近、猪俣さんが落ち着いて聞いてくれるし、話を時々繰り返してくれるので、
報告がとてもしやすくなりました」と言うではないですか。
Sさんは報告下手な人だと思っていましたが、そうではなく、Sさんを報告下手にしていたのは、
私の聴く態度だったことに気づいたのです。
さらに、他にも変化が起きました。それから一ヶ月ほどして社長がこう言ったのです。
「最近、Sは仕事を落ち着いてやるようになったな。前はうっかりミスがあったが、
なくなってきた。仕事が早く終わると、他の人の手伝いもするようになった」
自分が相手からちゃんと受け入れられているという実感が得られれば、自ら意識も行動も
変わっていくのだと、私はSさんから学びました。
あなたの周りで「聴き上手」な人はいますか?「聴き上手」だったな、という人はいますか?
あなたの家族、親戚、学校の先生、友人、先輩、後輩と今まで関わってきた人の中で
何人かいることと思います。
その人の表情、視線、態度、相づち、頷きはどうだったでしょう。それを思い出しながら、
相手の話を聴いてみてください。相手の内側に起きるポジティブな変化が、
行動や態度に今までと違った変化を及ぼすはずです。お試しあれ。
第3回「「クローズド・クエスチョン」のオンパレードと「Why」に注意」
今、ワークエンゲージメントを高めることが注目されています。
働いている人一人ひとりが、仕事に誇りを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力
を得て活き活きしている状態をいいます。
コーチングスキルというコミュニケーションでその状態を自らつくることが
できます。
今回はその中から「質問する」スキルをお伝えします。
質問のスタイルは大きく2つに分かれます。一つは、クローズド・クエスチョンで、
「はい」か「いいえ」で答えられる質問です。例えば、「メールの返信した?」
「課長に報告した?」「準備はできている?」などです。
もう一つは、オープン・クエスチョンで、5W1Hと呼ばれる疑問詞(What、Why、Who、
When、Where、How)で始まり、自由に答えられる質問です。
例えば「何が良かった?」「なぜそう思うの?」「お客さまの様子はどうだった?」など。
クローズド・クエスチョンが続く会話になっている時、そして「Why=なぜ」の質問
にも使い方に工夫が必要です。
以前、夫との会話を第三者的に観察してみたことがあります。
次の会話は、軽井沢で行われた友人の結婚式から帰宅したときのものです。
彼「新幹線で行ったの?」
私「うん」
彼「寒かった?」
私「うん」
彼「ホテルは駅から遠かった?」
私「うん」
私は「うん」としか答えていません。どうにも会話が盛り上がりません。
彼「ところでスピーチ、上手くいった?」
私「ああ、スピーチね。あんまり上手くいかなかったかなあ」
彼「なんで?!なんでうまくいかなかったの?!」
そう言われた瞬間、きゅっと緊張が走りました。彼は私を責めているわけではないのに、
上手くいかなかったことを「責められている」ように感じ、この会話から逃げたく
なりました。
私「緊張していたし、準備不足もあったし。まあ、いいんじゃない?」
実のところ、考えるのももう面倒。半ば投げやりに答えていました。
人は質問されると自ずと答えを探します。しかし、「はい」か「いいえ」の二者択一の
質問が続くと、さほど考えなくてもすぐに答えが出ますから、深く考えない癖がついて
しまいます。気づき、考え、行動できる人に近づく質問かというと、そうではないでしょう。
あなたが普段使う質問は、クローズド・クエスチョンとオープン・クエスチョンの
どちらが多いですか?
もしもクローズド・クエスチョンが多かったら、時折オープン・クエスチョンを使って
みましょう。例えば次のようにです。
「軽井沢はどれくらい寒かった?」
「ホテルは駅から何分かかったの?」
「ホテルまではどうやって行ったの?」
また、人が失敗したり上手くいかなかった時、つい私たちは「なぜ、こうなったの?」
と質問したくなります。そのような時に「なぜ?」と質問されると、人は批判されたように
感じ萎縮してしまいます。
一方、「なぜ」はもともと問題解決に向けて原因を探る有効な質問です。もしも相手にそう
質問したくなったら、「どうしたら」で言いかえてみましょう。
「どうしたら、上手くいっただろう?」
「どうしたら、次回は上手くいくと思う?」
「どうしたら、できるようになるだろう?」
相手は目指す状態に向けて、何をすべきかを自ずと考えられるようになります。
行動を起こす可能性もぐんと高くなるでしょう。
「クローズド・クエスチョン」のオンパレードと「Why」には要注意。人の思考が広がり、
思わず行動したくなるような質問をしていきましょう。
第4回「効果的な承認~よい評判を伝える~」
今、ワークエンゲージメントを高めることが注目されています。
働いている人一人ひとりが、仕事に誇りを感じ、熱心に取り組み、
仕事から活力を得て活き活きしている状態をいいます。
コーチングスキルというコミュニケーションでその状態を自らつくることができます。
今回はその中から「承認する」スキルをお伝えします。
デール・カーネギーが書いた『人を動かす』という本は自己啓発の原点といわれています。
その本でカーネギーが繰り返し言っているのが、「誰かに自分の望むことを
させるには、相手の自己重要感を高め、自分はきちんと評価されていると感じ
させることだ」とあります。
これが「承認する」というスキルですが、このことを実感したことがあります。
以前、印刷会社で働いていたとき、Aさんという営業担当者がいました。
年齢は50代後半、入社したときから営業一筋の方です。
しかし、業界をとりまく環境の変化に追いつけないという様子でした。
彼に対して私は言いたいことがたくさんありました。
「お客さまから声をかけられるのを待っていないで、新しい仕事をとってきて
もらえませんか?」
Aさんは「はいはいはい」と馬耳東風。適当に感じるその返事に、私をうるさがっている
様子がありありとうかがえました。
ある日、重要な取引先の仕事を失うという大変なことが起きました。
経緯は、お客さまからの問い合わせに「うちでは、ちょっとできません」とAさんが
回答したことにありました。それを知ったとき、正直、頭に血が上りました。
このままAさんが営業担当だったら、どんどんお客さまを失うのではないかと
不安にかられました。寝てもさめても考えるのはそのことばかり。
Aさんはうちの会社で全く役に立っていない!そう思った時、ふと感じました。
ほんとうにそうか?と。思えば、Aさんをわざわざ指名されるお客さまもいらっしゃいます。
特にT社はそうです。
その翌朝、職場でちょうどAさんと私の二人だけという時、そのことを伝えてみました。
「Aさん、T社の方が『Aさんは急な相談でも早く対応してくれるので、とても助かっています。
よくやってくれてありがたいです』って言っていましたよ」
彼と目がチラッと合いました。その目の表情は得意げに見えました。
それから数日後のことです。Aさんが珍しく私に声をかけてきました。
「T社さんで新しい企画を出したいそうです。今回は企画のアイディア出しから
お願いしたいとのこと。こういうのは猪俣さんのほうが慣れているんじゃない?
お客さんに連絡してくれないかな?」
驚きました。なにしろAさんから相談されるなんて今まで一回もありませんでしたから。
それをきっかけに、少しずつ仕事を私に引き継ぐようになりました。
しかしも営業の大先輩として、何かと相談に乗ってくれるようになったのです。
この変化はなぜ起きたのでしょうか。
きっとAさんにもわかっていたのです。自分の営業スタイルは時代にもう合っていない、
新しい知識やスキルが必要だが、今さらもう習得する意欲が自分にはないと。
でも、自分もそれなりにやっていることは分かってほしい、認めてほしい。
それが満たされて、今度は周りの人に協力しようという気持ちが芽生えたのかもしれません。
正論は相手を頑なにするばかりです。
相手はあなたに何を認めてもらいたいと思っているでしょうか。
今までの行動を自ら変えたくなるような、相手が欲しい承認の言葉は何でしょうか。
私がAさんにしたように、他の方からのよい評判を本人に伝えるのも効果的な承認です。
第5回「未来を描く、創る」
今、ワークエンゲージメントを高めることが注目されています。
働いている人一人ひとりが、仕事に誇りを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を
得て活き活きしている状態をいいます。
コーチングスキルというコミュニケーションでその状態を自らつくることができます。
今回はその中から「未来を描く、創る」スキルをお伝えします。
人は自分が望むことを話している時に、意欲が高くなります。
「望むこと」、つまり「未来を描く、創る」というと、社会に役立つたいそうな
ことでなければならないと考える人が多いですが、話題は身近なもので十分です。
そこで、私が印刷会社で働いていた時の話をしましょう。
職場に専門学校を卒業したばかりのI君が入社してきた時のことです。
少しでもI君の成長に関わりたいと、こんな質問をしてみました。
「ねえ、I君の1年後の目標って何?」
「そうですね。とりあえず車が1台欲しいです」
この答えに、正直なところ戸惑いました。仕事の話をしているのに、なぜ車の
話題になる?「とりあえず」って、いったい何台欲しいの?
しかし、1年後の目標を訊かれて「車が欲しい」と答えたということは、I君にとって
大切な思いであることは事実です。ならば、このままこの会話を続けてみようと決めました。
「へぇ。車かー。いいね!なんの車がいいの?」
「〇〇〇がいいです」
「ああ、〇〇〇ね。人気があるよね。何色がいいの?」
「黒がいいです」
「黒!渋いね。車を買ったら、最初にどこに行きたい?」
「うーん。どこに行くかなー」
「それで、助手席には誰を乗せたいの?」
「うーん」
このやりとりが3分くらい続いたでしょうか。ひとしきり話したあと、I君はうつむいて、
何かをじっと考えているように見えました。
それから約4ケ月後。ふと、そのときの会話を思い出し、I君に車のことを訊いてみました。
「I君、そういえば車が欲しいって言っていたよね?」
すると驚いたことに、中古車をローンで購入したというではないですか。
しかし、もっと驚いたのは、その後のI君の態度が明らかにそれまでと違ったことでした。
仕事に取り組む動作や取り組む姿勢も機敏になり、業務に集中している態度は、
新入社員ながら頼もしく見えました。
おそらく社会人として自分の責任でローンを組み、欲しいものを自分の責任で買い、
働いて得た給料から毎月の返済をしていくなかで「自立している自分」を感じたのでしょう。
彼は自信と誇りを手に入れたのだと思います。
「今日は残業しないで、早めにあがります」と前もって言ってくるときもあり、
理由を聞くと、「週末にドライブに行くので洗車をしたい」とのこと。
それでも、仕事に手を抜くことはなく、決められた時間できっちりと仕上げる働きぶりは、
私も刺激を感じるほどでした。プライベートの充実が、仕事をこれほどまでに充実させる
ことを目の当たりにし、嬉しく感じました。
I君のこの成長とモチベーションの原点は、どこにあったのでしょうか?
恐らく「とりあえず車が1台、欲しいですね」という私との会話だったのではないか
と思います。「あなたの〇年後の目標は?」という「未来を描く、創る」質問をあまり
重たく感じないでください。「元気?」という挨拶がわりくらいの気軽さで質問して
みましょう。
そこからワークエンゲージメントを育む物語が始まりますから。
第6回「小さな成功体験をつくる」
今、ワークエンゲージメントを高めることが注目されています。働いている人一人
ひとりが、仕事に誇りを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得て活き活き
している状態をいいます。
コーチングスキルというコミュニケーションでその状態を自らつくることができます。
今回はその中から「小さな成功体験をつくる」スキルをお伝えします。
職場一人ひとりのアイディアは、「行動」という誰もが目に見える結果になってこそ、
成果を生み出します。
部下が、せっかく「〇〇〇をします」と言っても行動しなければ、有言不実行。
そういう人に仕事を任せられませんし、何よりも当の部下自身の自己肯定感が
低くなります。約束を守れないのですから、自信もなくなります。
次第に、部下は確実にできることしかやらなくなり、「したいこと」を
話題にださなくなります。
部下が有言実行の人であるために、あなたができることは何でしょうか?
『脳が教える!一つの習慣』(ロバート・マウラー著/講談社)には、興味深いことが
記されています。人の脳は、やろうとしていることが本人にとって大きいと感じると、
「変わらなければならない」「できなかったらどうしよう」と「変化することへの
怖れや不安」が起こり、行動できなくなるそうです。
例えば「3か月後のフルマラソン初挑戦に向けて、毎日必ず5km、ランニングを続ける」
と決めたとします。このような急激な変化を起こそうとすると、脳の特定部位が
恐怖を感じ、行動しないように働きかけるそうです。
結果として、『何もできなかった』ということが起こります。
だから、行動は非常に小さなステップに落とすとよいのです。
例えば、「毎日一分だけ、テレビの前で足踏みする」ぐらいの。
変化が起きているのかいないのか、脳がわからないぐらいの小さなステップにしてしまう。
すると「恐怖」は起きず、行動が起こり、新しい習慣が定着し、さらに新しい行動を
本人自ら生みだします。
これこそが「小さな成功体験をつくる」スキルです。
例えば、以下の言葉を聞いた時は、このスキルを使う恰好の場面です。
「頑張ります」
「気をつけます」
「前向きにやります」
「期限を守ります」
相手の威勢の良い意志表示にだまされないでください。そういう時ほど
注意したほうがよいです。あいまいな表現なる言葉を耳にしたら、
そこで立ち止まりましょう。
そして、具体的な行動がイメージできるように、次のような質問をしてください。
「頑張るって、何をすること?」
「気をつけるって、何をどのように?」
「前向きって、どんな行動をとると『前向きになった』ってわかるの?」
「期限を守るために、することは何?」
しかし、一般的に人はこういう質問に考え慣れていません。
即答できない場合が多いでしょう。そういう時は、そこで完璧な答えを求めるのではなく、
考えるための時間をとってあげてください。
「今すぐ答えが出なくても大丈夫。じっくり考えて。明日、教えてね」などのように。
そうして話をする機会をつくって、部下を継続してフォローしてあげてください。
会話は、いつもその場で完了しなくても構わないのです。
毎日、3分でも5分でも、それくらいの短い会話でも続けることに価値があります。
成功体験も最初は小さく。是非相手に味わってもらってください。
それが相手のワークエンゲージメントを高めます。
株式会社Story I 代表取締役 猪俣 恭子
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