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千葉県産業情報ヘッドライン

「千葉県産業情報ヘッドライン」バックナンバー
【連載特集】

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           採用のコツ・最適マッチング!
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          第1回目 求める人材と採用方針

 採用目的のうち、まず採用方針(採用計画)を立てます。採用計画といっても
「ただ何となく人材不足だなぁ」「ライバル会社が採用に力をいれているからなぁ」
くらいの気持ちで計画を立ててしまうと思わぬアンマッチを起こしてしまいます。
 効果的に採用方針を決めていくには、中期経営計画(3年〜5年)に基づき方針
を立てていきます。なぜ中期経営計画かというと、採用する人材は勿論即戦力
に越したことはありませんが、中期の計画に基づいて「求める人材を未来の戦力
として考え、教育・訓練を実施しながら成果を積み重ねていく」と考える方が
自然だからです。採用された人材のモチベーションアップにも繋がり効果も期待
できます。
 企業理念や経営計画、求める人材像を明確にすることで、採用マインドが高い
企業としてのアピール度も高くなります。実際に求職者が企業に応募するポイント
として「企業理念がはっきりしている」「求める人材像がはっきりしている」
という項目を挙げていることからもわかります。
 企業理念や経営計画から、人材を必要としている業務・部門がはっきりします。
次に採用対象(新卒、第二新卒、中途など)、採用したい人材像、必要なスキル
や経験の有無、採用スケジュール、採用人数を明らかにして、採用計画を確定
します。
 採用活動も「採用プロジェクト」と認識することができます。プロジェクト
を成功させるためには、3要素(目的・期間・経営資源)を明らかにする必要
があります。

■採用目的(何のために):受注拡大による材料販売部門および加工部門の要員
の確保、及び将来の幹部社員を採用する。

■採用したい人材像(どんな人を):新卒者および第二新卒者、既卒者(未経験者)
であっても前向きに知識を吸収する意欲のある人。

■必要なスキルや経験:材料販売部門についてはビジネスキャリア3級程度の知識、
加工部門についてはQC検定3級程度の知識が必要。

■期間(いつまでに):12月末までに採用を決定する。

■採用人員(どれくらい):5名程度採用する。

 あれ?プロジェクトの3要素の中の経営資源は?と思われた方もいらっしゃい
ますよね。採用したい人材像(人員)が決まれば、経営資源(ヒト)も確定され
ます。
 因みに、経営資源はヒト・モノ・カネ・情報・ノウハウが一般的ですが、最近
「時間」も仲間入りしているようです。「時間を味方につける」工夫も大切ですね。

次回は採用の段取りについてお話ししていきたいと思います。




        第2回 採用の段取り・・社内広報とツール

 今回は、採用の段取りについてお話しします。

■応対担当者を選定する
 専任・兼任を問わず、募集の流れを把握している応対担当者を決めておくこ
とが重要です。応募者のたらい回しや、説明不足では折角の企業努力も報われ
ません。

■採用活動の開始を社内広報する
 応募者の対応をスムーズに行う(信頼性を高める)ために、社内に「採用活動
を行っていること」を周知します。応対担当者名は勿論、応募受付方法や専用
eメールアドレスがあれば一緒にアナウンスし、問い合わせに対応できる態勢を
整えることが重要です。
 求職者が応募企業に電話をするというのは「たいへん大きなイベント」です。
いろいろ悩んでやっとの思いで電話をしても・・「求人?何のことですか?」
「今は担当者が不在なので後でかけてきてください」と応対されるとどうでしょう。
「折角の思い」も一度に冷めてしまいます。
 応対マニュアル(簡単なモノでも構いません)を用意して、担当者だけでなく
応募を取次いだ社員の方も「懇切・丁寧」を心がけるよう徹底したいものです。

■ツールの準備
 採用担当者が常に、応募者に同じ内容(品質)で伝えるのは大変で時間もかか
ります。時間を味方につけるためにも自社に関する情報をきめ細かく伝えるツール類
は、ぜひ準備しておきたいものです。
 次にツールの一例を紹介しておきます。
・会社案内(営業パンフレット、商品・職種紹介など)
・社内発行誌…社史、社内報、社内論文や研究レポート(公開できるモノ)
・新聞や雑誌などに掲載されたPR情報、教育・研修プログラム
・商品見本
・入社案内(採用パンフレット)があれば、なお良いでしょう。
 応募者は、前向きですから意外なところで魅力を発見します。自社に関する
情報(ツール類)は出来るだけ沢山用意しましょう。全て説明する必要はあり
ません。面接会場などに置いて閲覧できるようにしておくだけで様々な反応が
あります。勿論、用意した資料の内容について質問があった際には、丁寧に応えて
あげてください。
 もう一つ効果的なツールは、連絡・通知のための様式集です。いざ文書を送付
しようとして、内容を考えていると大事な項目が抜けてしまった。というのは
よくある失敗です。
(1)選考日時通知書
(2)選考会場交通案内書
(3)内定通知書
(4)採用通知書
(5)不採用通知書
(6)資料送付書
などを予め用意しておくと良いでしょう。

 次回はいよいよ書類選考・面接のポイントについてお話ししていきます。




          第3回 書類選考・面接のポイント

最終回は、書類選考・面接のポイントについて・・です。

■応募書類
 主な応募書類には、
(1)履歴書
(2)職務・業務経歴書
(3)その他(作品、小論文、作文)
(4)自社専用の応募様式
がありますが、一般的には「履歴書」と「職務経歴書」の提出を求めるケースが
多いようです。
 募集職種によってはその能力・技量を見るために別途「作品」の提出を求める
ケースもあります。また、幹部候補・営業職・研究開発職・技術職(エンジニア)
・専門職など、その専門的な知識や保有資格、経験などが特に重視される場合には、
「業務経歴書」として職務分野のキャリアに絞って詳しく書いてもらうことも
あります。
 書式については市販品を利用しても良いですが、自社専用の応募用紙をホーム
ページからダウンロードできるようにしておくとより効果的です。

■書類選考・面接の実施上の留意点
 募集広告の段階で、できる限り「選考基準」について明示しておくことがポイ
ントです。応募者も書類選考や面接に対しては様々なところで訓練しています。
短い時間でありきたりの質問では、殆どの応募者が同じような回答になってしま
います。
 採用後のアンマッチを避けるために、面接では「傾聴」をこころがけ、応募者
が沢山話せるよう「引き出す質問」等で工夫してください。面接者3に対して
応募者7の割合くらいで発言できると良いでしょう。

 変わったところでは、最終面接に際して、応募者に「2時間モノづくりを体験
します。作業ができる恰好で来てください。」とアナウンスしました。作業服
を持参する者、エプロンを持参する者、様々でしたが・・用意されていたモノは
「ガンプラ」でした。嬉しそうな顔、困惑した表情これも様々でしたが、
「完成度は問いません。未完成でもOKです。ポイントは丁寧さと協調です。」
と簡単な説明と注意事項のみでスタートしました。
 結果2名が採用されました。
 ここで企業が注目したのは、「丁寧さ」は勿論ですが「他者に対する気配り」
でした。(1)進捗の早い者に対しては、進捗の遅い者に対しての気配り・フォロー、
(2)進捗の遅い者に対しては、ヘルプのタイミング、フォローに対する反応を
見ていたのです。2時間で帰っても良い(以降は評価の対象にならない)という
選択肢を提供しましたが、楽しみながら全員が完成まで辿り着いたようです。
 採用された応募者の作品は今も応接室に展示されています。

 書類選考・面接の結果は合格・不合格の如何に関わらず、応募者全員に速やかに
文書で通知してください。
 不合格者に対しては、応募書類等返却しましょう。返却できない場合は、予め
募集時に、応募書類は返却しない旨を記し、「責任を持って破棄する」ことを
明示しておくことが必要です。

 ちょっと字数を超えてしまいましたが、採用は企業を評価する良いモノサシ
にもなっています。採用を切欠として企業センスを磨いて魅力アップに努めて
みてください。きっと得意先からも良い反応を得ることができるはずです。

また機会があればお話ししたいと思います。ありがとうございました。


                      中小企業診断士 藤川惣二

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