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千葉県産業情報ヘッドライン

「千葉県産業情報ヘッドライン」バックナンバー
【連載特集】

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                       5S・現場改善の生産管理
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          5S・現場改善シリーズ(1) 
              5Sって?5Sの正しい意味を知っていますか

 5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)という言葉は、KAIZEN(改善)と並んで
世界中の物づくりに携わる人たちの共通語になっています。


 海外のセミナーで「5Sを知ってますか?」と質問すると、どこの国でも誰か
が日本語で「SEIRI, SEITON,  SEISO・・・」と答えてくれます。先月のインド
のデリーで行った現場改善セミナーでは、受講生のほぼ全員が日本語で答えて
くれました。
 私が続けて「整理とはどういう意味ですか?」と質問すると誰かが正しい意味
を答えてくれます。「しっかり勉強しているな」という感じです。


 これだけ世界中で有名になった5Sですが、日本国内ではどうでしょうか。


 ある企業の管理職研修で5Sが話題にあがりました。
 そこで、講師の私から、「5Sの意味を知ってますか?」と聞いたところ、
「掃除することでしょ」「片づけることでしょ」という答えが返ってきました。
 まわりの人たちも「そうだ、そうだ。」という顔をしていました。

 本来ならば、講師が5Sの正しい意味を説明すべきなのでしょうが、管理職で
さえこのような認識なのだと感じ、まずはコメントしないで次のテーマに移り
ました。


 5Sの中の整理整頓は、日本人なら誰しも知っている言葉ですが、現場改善に
おいて「整理とは?」「整頓とは?」と聞いたら、どれだけの人たちが正しい
意味を答えてくれるのか不安になります。


読者の皆さんはどうでしょうか?


念の為に、現場改善で使う5Sの意味を書きにまとめましたのでセルフチェック
をしてみてください。

1.「整理とは」
  必要なものと不必要なものを区分し、不必要なものは取り除く

2.「整頓とは」
  必要なものが必要な時に、すぐに取り出せるようにしておく

3.「清掃とは」
  ゴミ・汚れ等をなくし、きれいに掃除し、点検する

4.「清潔とは」
  整理、整頓、清掃された状態を維持する

5.「躾とは」
  決められた事を守れる習慣づけを行う

職場の全員で5Sの正しい意味を共有化することが5Sの第一歩です。



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                       5S・現場改善の生産管理
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                      5S・現場改善シリーズ(2)
        「あなたの職場の5Sは?ニセモノですか?ホンモノですか?」

前回は、5Sの正しい意味について述べましたが、今回はいろいろな視点から
5Sを2つのタイプに分けて考えてみましょう。

  1.「見せかけ5S」と「役に立つ5S」
  2.「やらされ5S」と「自らやる5S」
  3.「やる人だけの5S」と「全員参加の5S」
  4・「その時だけの5S」と「やり続ける5S」
  5・「言われた所だけの5S」と「自ら見つける5S」
  6.「5Sのための5S」と「(ある目的)のための5S」

上記の前者のタイプが言うまでもなく「ニセモノ5S」のことです。
皆さんの職場の5Sはいかがでしょうか。

6項目すべてが後者であると言いきれる職場は少ないと思います。
職場の5S活動については、どこの職場でも何らかの問題をかかえているのが
現状のようです。

「ニセモノ5S」について、少し解説しましょう。

「見せかけの5S」
例えば、通路から見える所、設備の表側、作業台の上など、人の目につきやすい
所だけやる5Sのことです。

「やらされ5S」
自分の意志ではなく、誰かの指示や命令に従ってイヤイヤやっている5Sのこと
です。

「やる人だけの5S」
全員で行うことになっているにもかかわらず、行っているのはいつもの一部の
人たちだけです。

「その時だけの5S」
お客様や社長が工場を見学する、その時だけ一生懸命やる5Sのことです。

「言われた所だけの5S」
上司や5S委員から指摘された所だけやる5Sのことです。

「5Sのための5S」
5Sをすることが目的となっている5Sのことです。言い換えれば、「なんのために
5Sをやるのか」考えたことがない5Sのことです。

実は、最後の「5Sのための5S」、「5Sの目的を考えない5S」をやっている
ために、他の「ニセモノ5S」を引き起こしている場合がほとんどです。

各職場で5S活動を始める前に、「何のために5Sをやるのか」「どうして5Sを
やるのか」、全員参加で話し合い、「5Sの目的」を共有化することが大切です。
これを忘れている職場が多いことにいつも驚かされます。

「5Sの目的」を難しく考えず、全員が納得できる身近な目的から始めては
いかがでしょうか。
例えば「工具や部品を探すムダをなくすために」、「職場の小さな異常(油モレ
や定位置化の乱れ)を見つけて改善するため」などです。

「5Sの目的」を全員でもう一度確認して下さい。



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                          5S・現場改善の生産管理
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                          5S現場改善シリーズ(3)
          「職場の5Sは定着していますか? 後戻りしていませんか?」

5Sセミナーでは、いつも次のような質問を受けます。
「私の職場では5Sを行っているのですが定着していません。時間がたつと前の
悪い状態に後戻りしてしまいます。どうしたら良いでしょうか。」

5S活動を始めて最初からうまくいき、5Sが定着しましたという話は聞いたこと
がありません。これは日本だけではなく世界中どこでも同じです。

5Sがなぜ定着しないのか、なぜ後戻りするのか、その原因を考えてみる必要が
あります。
いろいろな原因があげられると思いますが、ここでは各職場に共通している原因
を1つ取り上げて説明します。

それは、5Sの進め方に関することです。

5S活動をどのように進めているか聞いてみると「一番目に整理をして、二番目に
整頓をして、三番目に清掃をして…」。
このように順番に進めている職場が多いようです。順番に進めることは間違いでは
ありませんが、このような職場では五番目の躾に到達する前に後戻りしてしまって
います。

5Sの言葉を説明する時には順番に説明しますが実施するときには必ずしも順番に
行う必要はありません。5Sの意味を考えて3S(整理、整頓、清掃)と2S(清潔、躾)
に分けて考えることが大切です。

3S(整理、整頓、清掃)― これは、現状よりも高い水準に目標を置き活動する
ことですから、改善活動です。

2S(清潔、躾)― これは、改善された状態を維持し、それを習慣づけすること
ですから、維持活動です。

つまり、
3S(整理、整頓、清掃)は改善活動。
2S(清潔、躾)は維持活動。
と考えてください。

皆さんが苦手な維持活動2S(清潔 躾)をうまく進めるためには、「目で見る管理」
の考え方を活用することをお勧めします。

「目で見る管理」とは、現場において現物を見て正常か異常か一目でわかるよう
にすることです。
例えば、工具の姿置きのように決められた物が決められた所に置いてあるかどうか
(正常か異常か)一目でわかるように工夫することです。

3S(整理、整頓、清掃)のどれかひとつを実施して改善したなら、続けて改善
した状態を維持するための「目で見る管理」の工夫を行って下さい。

5Sができている状態とは、3S(整理、整頓、清掃)の改善活動と2S(清潔、躾)
の維持活動が両立していることです。

            (有)コンサルティング・ベルオフィス 代表取締役 鈴木規男
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