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千葉県産業情報ヘッドライン

「千葉県産業情報ヘッドライン」バックナンバー
【連載特集】


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              経営に活かせる、商標制度の基礎知識 
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                  第1回「はじめに 〜『阪神優勝』事件〜」

 2003年、当時のプロ野球セ・リーグでは、開幕から阪神タイガースが首位を独走し、
早々に阪神優勝が囁かれていました。そんな中、阪神タイガース球団とは無関係の一
個人が『阪神優勝』という商標を、特許庁で商標登録したことが、マスコミで大きく
取り上げられました。

 「なぜ特許庁は、阪神球団と無関係の人間に『阪神優勝』などという商標の登録を
許すのか?」
 「阪神球団でさえ、『阪神優勝』という語を使った商品を作ったら商標権侵害とな
るのか?」
 「阪神が優勝したとき、新聞やニュースで『阪神優勝』という言葉は使えるのか?」
弁理士試験の受験中で、商標の専門知識がある私からすると、的外れな報道や議論を
するニュース番組も多かった印象がありました。

 ちなみに、この個人が『阪神優勝』という商標について商標登録した「指定商品」は、
第25類「被服」等と第28類「運動用具」等です。商標権の効力は、指定商品と同一又は
類似の範囲にしか及びませんから、『阪神優勝』という語をこれら以外の商品に使用し
ても商標権侵害になりません。また、新聞やニュースが『阪神優勝』という言葉を使う
のは、単なる事実の報道であって、商標法上の「商標の使用」ではありませんから、商
標権侵害にはなりません。

 特許庁が阪神球団と無関係の人間に『阪神優勝』という商標の登録を認めたことにつ
いては、この商標が「横縞柄の旗の中央に『阪神優勝』と記されている」ことから、著
名な「阪神タイガース球団」を連想させることを特許庁自身(特許庁審査官)の裁量で
指摘し、登録を拒絶してもよかったかとは思いますが……。

 登録を拒絶するには商標法上に明記された拒絶理由に該当していなければなりません
が、「阪神」という語は単独では大阪〜神戸を差す単なる地域名にすぎず、直ちに「阪
神タイガース球団」の略称や同球団を連想させる語であると言い切れるものか迷い、拒
絶するのをためらったのかもしれません。

 特許庁の名誉のために付け加えますと、後に阪神タイガース球団がこの登録商標に対
して無効審判を請求した際には、阪神球団の提出した証拠を採用して、『阪神優勝』と
いう商標と「阪神タイガース球団(の優勝)」とが関係があるとの認識を需要者が抱き、
出所の混同(この商標が付された商品が、阪神タイガース球団またはその関係者によっ
て製造販売されているとの誤解)を招くおそれがあることを認めて、この商標登録を無
効にするとの妥当な結論に達しています。

 さて、商標権の効力は日本全国に及び、その範囲は登録した「指定商品」と「類似」
の範囲にまで及びます。そして、インターネットが発達した現在では業種や商圏の壁が
低くなり、従来では競業者となりえなかったような他人から商標権侵害で警告を受ける
など、過去には考えにくかったような商標トラブルも増えています。

 そうした無用なトラブルを避け、自社の信用を守り育て、そして企業価値を高めるツ
ールとして活用するためにも、商標制度の基礎知識について、この機会に正しく理解さ
れてはいかがでしょうか。この連載が、皆様の経営の一助となれば幸いです。



                 第2回「商標の本質的価値 〜『小僧寿し』事件〜」

 私たちは日々、多くの商標に囲まれて暮らしています。自動車、家電機器、パソ
コン、携帯電話、洋服、医薬品、ビール、清涼飲料、調味料、コンビニ、銀行、保
険、出版社、すぐにいくつもの有名な社名や商品名、ロゴマークの商標が頭に浮か
ぶかと思います。

 そのほとんどは、登録商標として商標権により保護されています。

 商標法は、商標権の効力について『商標権者は、指定商品又は指定役務について
登録商標の使用をする権利を専有する』としています。つまり、商標権者は登録商
標を独占して使用することができ、他人の違法な使用を差し止め、違法に使用した
他人に対して損害賠償を請求することができます。

 なぜ、そのようにして法は商標を保護するのでしょうか。

 商標法は、その目的について『この法律は、商標を保護することにより、商標の
使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて
需要者の利益を保護することを目的とする』としています。
 これは感覚的にもすぐに理解できるかと思いますが、実はこの中に非常に重要な
キーワードが含まれています。それは商標の本質的価値である「業務上の信用」と
いう言葉です。

 さきほどの様々な社名や商品名、ロゴマークの商標を、もう一度思い浮かべてみ
てください。

 単なる文字やマークだけでなく、同時にその会社のイメージや、商品の品質や性
能、サービスの質、営業マンや従業員の印象、あるいはTVで流れるコマーシャル
といった、様々な情報も同時に思い浮かべられるのではないでしょうか。そして、
私たち需要者は、その商標を手がかりにして好みの商品やサービスを選択すること
で、希望通りの商品やサービスを手に入れることができます。
 法が本当に保護しようとしているのは、単なる文字やマークである商標自体では
なく、商標が使用された結果、その商標に蓄積されてきた「業務上の信用」と言え
ます。

 企業を経営する皆さんにとっては、当たり前すぎることかと思います。ですが、商
標法を知り、商標自体に目がいけばいくほど、つい忘れてしまいがちになる重要な原
則ですので、次の判例とともに早期に紹介することにしました。

 持ち帰り寿司のフランチャイズチェーンとして著名な、小僧寿しグループの本部会
社(以下、単に小僧寿しといいます)が、指定商品を旧第45類「他類に属しない食料
品及び加味品」とする登録商標「小僧」の商標権者から、商標権侵害として訴えられ
る事件がありました。

 小僧寿しは、昭和47年に設立されたそうで、昭和51年には指定商品を第32類「食肉、
卵、食用水産物、野菜、果実、加工食料品」として商標登録を受けていましたが、本
件商標「小僧」は昭和32年にすでに商標登録されていたのです。
 この昭和51年の時点で、小僧寿しは基幹事業である「寿司」について、他人に商標
権がある重大な危険を把握していたわけですから、商標権の買い取り交渉なり商標変
更なり、すぐに何らかの対策をすべきだったとは思うのですが……。

 結局、最高裁まで争われたこの事件、難しくなるので細部は省きますが、裁判所は
様々な解釈を駆使して、小僧寿しによる一部標章(ローマ字で「KOZO」)の使用
は商標権侵害となるが、その他の標章(「小僧寿し」等)の使用は商標権侵害ではな
いとして、「小僧寿し」という名称の使用を正当と認めました。
 そして、商標権侵害となるローマ字で「KOZO」の使用についても、小僧寿しは
需要者に広く認識されて相当大きな顧客吸引力を有していたのに対して、本件商標は
知名度がなく、顧客吸引力をほとんど有しておらず、需要者が小僧寿しと本件商標権
者の商品を取り違えるようなことは起こり得ず、また、ローマ字の「KOZO」は需
要者の商品の購買動機に寄与していないことから、本件商標権者に損害が発生してい
ないことは明らかとして、損害賠償請求を認めませんでした。

「商標権は、文字や図形を組み合わせた商標そのものに財産的価値があるのではなく、
業務上の信用が付着することによって初めて財産的価値を取得するものである」という、
この判決文の一部をもって、今回はしめたいと思います。



                  第3回「商標と商品・役務の関係性 〜『巨峰』事件〜」

 第1回でも少し述べましたが、商標登録出願は、その使用を欲する商品や役務を指
定して行います。例えば「第28類 おもちゃ,人形」や「第43類 宿泊施設の提供,
飲食物の提供」のように記載します。

 余談となりますが、この指定商品・指定役務は45の区分に分類されていて、区分
数が増えると出願費用や登録費用が増加します。また、一区分なら同額料金だから
と、あまり多く書きすぎると、審査において「本当にそんなにたくさんの商品につ
いて商標を使用するのですか?」と、いったん拒絶理由が通知されて使用証明の提
出を求められることもありますので、注意が必要です。

 さて、今日ご紹介する『巨峰』事件の裁判例は、そんな商標と指定商品との関係
についてのものです。
(※平成になって第二巨峰事件というのが起こりましたが、ここでは元祖の昭和の事
件についてご説明します。)

 被告として商標権侵害で訴えられたのは、ぶどう出荷用の段ボール箱の製造販売
を行っていた会社で、段ボール箱には『巨峰』『KYOHOU』という文字が配さ
れていました。
 そして、これを訴えた原告が有していた商標『巨峰』の指定商品は「包装用容器」
です。形式的には、包装用容器たる段ボール箱に、被告は「巨峰」「KYOHO」の
標章を付しれているのですから、商標権侵害となりそうです。

 ちなみに、標章とは文字や図形ぐらいの意味で、これを商品や役務に使用したも
のが商標となります。

 被告側は「『巨峰』はぶどうの品種名であり、日本全国にわたって生産されてい
る著名な品種である。原告がたまたま本件商標について登録を受けているとしても、
巨峰ぶどうの生産者が用いる巨峰ぶどうの出荷用容器を製造販売するのを許さない
とすることは信義則に反し、権利の濫用である」等と反論しましたが、
 
 原告側は「被告が商品包装用容器を『巨峰』という標章を付して製作販売している
事実が問題なのであり『巨峰』が商品「ぶどう」の品種名であるかは関係がない」と、
訴訟前の交渉段階からの言い分を崩さず強気です。これは昭和40年代の事件なので詳
しい背景は分かりかねますが、何やら怖い筋の方々の言い分を想像してしまいます。

 最終的に裁判所がどのように判断したかというと、分かりやすく少し文面をいじっ
てありますが、次のとおりです。

 「一般に、包装用容器そのものの出所を示す場合には、その側面又は底面、表面で
あれば隅の方に小さく表示するなど、内容物の表示と混同されるおそれのないような
形で表わすのが通例である。

 包装用容器の見易い位置に見易い方法で表わされている標章は、内容物たる商品の
商品名もしくはその商品の出所を示すもの、というのが今日の取引上の経験則という
べきある。

 要するに本件段ボール箱に表示された「巨峰」「KYOHO」の標章は、内容物た
る巨峰ぶどうの表示であり、包装用容器たる段ボール箱についての標章の使用ではな
い。」

 この判決には、被告を救済するという目的も多分にありますので過信は禁物ですが、
商標権侵害となるかの判断は、実質的に何の商品・役務について標章・商標が使用さ
れているのか、商標と商品・役務の関係性を考慮するという、非常に意義深いものと
なっています。



         第4回「登録できる商標、できない商標」

 さて、どんな商標でも出願すれば全て登録されるわけでは、もちろんありません。
登録できる商標、できない商標があります。

 まず、他人がすでに登録している商標と同一又は類似の商標を、同一又は類似の
指定商品・役務に出願しても拒絶されます。これは多くの方が感覚的に理解できる
かと思います。商標法が、商標権者に登録商標の独占的な使用を認める制度である
以上、そこに他人が入ってきては困るからです。

 次に、未登録であっても“周知な商標”と同一又は類似の商標を、同一又は類似
の指定商品・役務に出願しても拒絶されます。
 すでに人々に知られ、一定の信用が発生している商標を、まだ商標登録されてい
なかったからといって他人に勝手に登録させては、その商標をもともと使用してい
た人が困りますし、その商標を手がかりに商品やサービスを手に入れようとする需
要者も混乱してしまいます。

 さらに信用の増大した“著名な商標”においては、同一又は類似の指定商品・役
務という範囲に関わらず、需要者に混同を生じさせるおそれがある場合には拒絶さ
れますし、仮に本家の商標と明確に区別できて需要者が混同しないとしても、不正
の目的(不当な利益を得ようとしたり、他人に害を与える目的)で出願したと認め
られる場合には、その出願は拒絶されます。

 また、これら他人の商標との関係での拒絶理由の他に、商標自体の問題で登録が
拒絶されるものもあります。

 その商品・役務についての普通名称は商標登録できません。
 例えば、商品「りんご」についての商標「リンゴ」や商標「アップル」があたり
ますし、役務「損害保険の引き受け」についての商標「損保」といった略称も登録
できません。こんなものを誰かに独占させていい訳がありませんから当然ですが、
商品「コンピュータ」について商標「アップル」は、その商品の普通名称ではあり
ませんから認められます。

 その商品・役務についての慣用商標も商標登録できません。
 慣用商標とは、同業者間で広く使われている商標のことで、例えば商品「清酒」に
ついての商標「正宗」、商品「自動車の部品」についての商標「純正」等です。

 その商品・役務の産地や販売地、品質、用途等を記述したに過ぎない商標も商標
登録できません。
 例えば、商品「りんご」についての商標「青森リンゴ」や商標「ゴールデンアッ
プル」、商品「とんかつ入りのハンバーガー」についての商標「とんかつバーガー」
等がこれに該当します。

 ちなみに、商品「りんご」についての商標「青森リンゴ」には、「青森産以外の
りんごにこの商標を使用した場合には需要者をして品質を誤認させる」という別の
拒絶理由も発生します。

 残念なことに、せっかく商標登録したいと相談を受けても、この記述的商標で登
録できないということがよくあります。皆さん、「とんかつバーガー」の例(日本
弁理士会によるエンターテイメントセミナーの寸劇の定番題材だったりします)の
ように、新しい画期的な商品を開発すると、ど直球なネーミングで商標登録を希望
することが多いようです。

 しかし、普通名称や記述的商標は「識別力が無い」と表わされるように、自分と
他人の商品・役務を区別する識別標識としての商標として本質的な機能が欠けてお
り、商標登録できないばかりか、商品のネーミングとしても実は魅力に欠けること
が多いのです。

 次回は、これら拒絶理由を上手く回避しつつ、商品の特徴をアピールした、上手
な商標活用例をご紹介したいと思います。

 他にも拒絶理由はいくつもありますが、蛇足に一つ。
 「ありふれた氏(苗字)」である、例えば「スズキ」や「ホンダ」は商標登録できま
せん。しかし、商品「自動車」等に商標「スズキ」や「ホンダ」は多数登録されてい
ます。これは、広く使用された結果、需要者が何人の業務にかかるかを認識できるほ
どに著名性を獲得し、「識別力がある」と認められて、特別規定の適用を受けられた
ために登録されたものです。

 この特別規定についてのご相談もたまに受けるのですが……残念ながら、そのハー
ドルは非常に高く、全国CMを打つような大企業でないと、なかなか認められません。



                 第5回「ライバルを一歩リードする商標活用例 」

 今はカメラといえば、デジタルカメラやカメラ付ケータイが全盛ですが、発売か
ら30周年を迎えた富士フィルムの「写ルンです」が再びブームとなっているそうで
す。発売された昭和61年(1986年)当時、使い捨てカメラ(正式にはレンズ付きフ
ィルム)という発想は斬新なものでした。

 しかし、もし「使い捨てカメラ」や「レンズ付きフィルム」などという商標出願
を行っても、前回ご説明した拒絶理由によって「商品の用途、品質などを単に記述
したに過ぎず識別力が無い」として拒絶されていたでしょう。また、画期的な新商
品の名前として魅力に乏しいものです。

 あらためて「写ルンです」という名称を見てみますと、商品の用途、品質を間接
的に暗示しつつ、「こんなものでちゃんと写るの?」という消費者が抱くだろう疑
念に「写ルンです」とユーモラスに応えていて、非常に素晴らしい商品名になって
いると感じます。

 このように、商品の説明を間接的に暗示させる商品名商標を上手く活用している
例としては、セロハン粘着テープの代名詞と誤解している方も多いニチバンの「セ
ロテープ」、同じく絆創膏の代名詞と誤解している人も多いジョンソン&ジョンソ
ンの「バンドエイド」、言わずと知れた日清食品の「カップヌードル」、害虫捕獲
器のロングセラーであるアース製薬の「ごきぶりホイホイ」、脂肪を落とす効果が
あり内臓脂肪肥満に効きそうな印象を与える小林製薬の「ナイシトール」など、ト
ップシェアかそれに準じる売上実績を持つ優れた商標が多いように思われます。

昭和56年10月に発売されたロッテの「雪見だいふく」は、四季を通じての人気菓子
である大福餅に着目し、餡の代わりにアイスを包むことを思いついたことから生ま
れたロングセラー商品です。もちろん、この「雪見だいふく」はキャッチーで魅力
的な商品名ですし、商標登録もされています。

 また、「雪見だいふく」が市場を席巻したのには、特許権の力も見逃せません。
アイスを包む餅を単に冷凍したのでは固くなって食感が落ちますし、餅がやわらか
く食べられる温度ではアイスが溶けてしまいます。ロッテは餅の成分や適温の研究
をすすめ、昭和56年5月に特許出願をして、同業他社からの多数の異議申立てと争い
続け、ようやく平成元年12月に特許を勝ち取りました。

 この特許化を境に、市場に出回っていた多数の他社類似品は姿を消しました。し
かし、特許権の存続期間は出願日から最大20年(医薬では25年)の有限な権利です。
一方で、商標権は10年ごとに更新可能な半永久権です。

 特許権の消滅後も「雪見だいふく」が不動の定番商品として売り場に地位を占め
ているのは、特許権による独占期間に得た多大な信用が商標に化体し、それが商標
権により守り続けられているからだと私は考えます。
 
 特許、実用新案、意匠という他の知的財産権と組み合わせていくことも、商標を
上手に活用する知的財産戦略なのだと示す事例です。

 最後に、自社の強みとなる優れた技術に名前をつけ、宣伝に積極的に活用してい
る例をご紹介します。

 「ダイソン。吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」というダイソン社のコ
マーシャルを見た方は多いかと思いますが、このキャッチコピーも「ダイソン」や
「DYSON」という社名商標とは別に商標登録されています。

 さらに「RADIAL ROOT CYCLONE」という商標登録により、ダイソン社がサイク
ロンテクノロジーと呼ぶゴミ吸引技術について、パンフレットやホームページで多
くの宣伝を行い、自社の掃除機の吸引力が優れていることをアピールしています。

 同じく「DYSON 360 EYE」という商標登録は、360度のゴミを検知できるロボッ
ト掃除機のセンサー技術につけられた技術名商標です。自社の優れた技術、強みに
名前をつけることで、長々と専門分野の技術の細かい説明を行うことなく、ごく簡
潔に消費者に伝えることが可能になります。

 謙虚な我々日本人からすると、そういう大袈裟ともとられかねない技術自慢には
少し抵抗があるのか、日本の大手メーカーのホームページなどを見ても同様な商標
の使い方はまだ少ないですが、グローバル化が進む中、欧米メーカーの様々な知財
戦略をもっと見習っていくべきかもしれません。

 さて、この『経営に活かせる、商標制度の基礎知識』も今回が最終回となります。
短い間でしたが、この連載が少しでも皆様のご参考になったならば幸いです。

                     松本特許商標事務所 弁理士 松本龍太郎



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