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千葉県産業情報ヘッドライン

「千葉県産業情報ヘッドライン」バックナンバー
【連載特集】


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                   SNSをビジネスで利用しよう 
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              第1回「SNSのビジネス活用、その前に」

 ライン、フェイスブック、インスタグラムなどソーシャルネットワークは、近年
あっという間に浸透しています。特にスマートフォンを持つ方は家族とラインで連
絡する方も多いのではないでしょうか。

 プライベートの利用にとどまらず、ビジネスユースとしてフェイスブックを活用
する事業者も増えています。社員同士のやり取りをフェイスブックグループで、個
人への依頼はメッセンジャー、といった使い方です。

 もちろん、広告の媒体としてSNSを利用し、受注を増やす事業者も増えていま
す。名前が知られている大手企業は軒並みSNSを活用しています。近年ではシャ
ープ、タニタがツイッターを利用して読み手を巻き込むような活動をしています。

 このような姿を見て当社も、と考える経営者は多いようで、SNSのセミナーは
あっという間に満席となります。

 私もSNSセミナーに講師として登壇することがあります。受講者の方になぜ受
講したのか、その背景をよくよく聞いてみると、三人に一人は「フェイスブックは
登録したばかりなんです」「これから登録します」と言います。
 残念ながら、ホームページと異なり、少々使い方を学んだだけでは受注にはつな
がらないのがSNSです。なぜなら

1.読み手との相互コミュニケーションのツールであり一度発言したら取り消しはで
きないから

2.リアルタイムで場の雰囲気に合わせた投稿が求められるから

3.口頭でのコミュニケーションと異なり、書いたことは残り、関係のない方も読むこ
とができるから

 SNSはコミュニケーションのツールです。他者とのコミュニケーションにおいて
なかなか意思疎通が難しいのは皆さん承知と思います。SNSの場合も同様です。単
に知っているだけでは読み手との交流は難しいのです。

 事例をあげます。
 先日、私が新しい事業を行うといった決意をフェイスブックで書き込んだところ、激
励とともに、「私は・・・・というサービスを展開しており、稲垣さんのビジネスにか
ならずお役に立てると思います!」と自分のビジネスについて長々とコメントをしてき
た方が複数いらっしゃいました。いきなり宣伝をされてしまった私としては、相手に対
する印象はそれほど良くはありません。

 また、うかつな投稿で読み手から非難を浴びる危険性もあります。ツイッターの投稿
において、周りから注目を惹こうとするあまり、あえて過激な発言を行う方がいます。
その発言に対し、読み手が過剰に反応した結果、書き手の社会的な地位が下落すること
がたびたび発生しています。

 通常の会話と異なり、SNSのコミュニケーションは、履歴が残ります。書いた時の
微妙な感情は全く排除され、文字だけ残るのです。第3者から見て、誤解を招くようなこ
ともよくあります。

 このような条件での広告・宣伝が非常に難しいことはお分かりいただけるでしょうか。
使い慣れていない方は、まず個人ユーザーとして慣れることから始めましょう。



               第2回「SNSでの「友達」との関係性 〜増やすのではなく深める〜」

 SNSで受注を増やすコツは、仕事とつながりのある友人をいかに増やすか、かつ、
関係性を深めていくか。これに尽きます。決して宣伝してはいけません。

 例えば皆さんが自分の顧客を紹介する、仕事を他の方に案内する時、どんな方に
声をかけるでしょうか?職種やスキルは絶対条件ですが、普段から連絡が取れる、
人間として信頼できる方に声をかけるでしょう。
 自分の販売する商品を売りつけたり、自分のことしか話さない方は対象から外し
ます。

 SNSは友達同士のコミュニケーションツールであり、現実の交友関係と同じです。
 唯一異なるのは、実際に会わなくとも時間を選ばずに交流ができる点です。SNSの
普及で人間関係に対する意識は急激に変わっています。一度しか会ったことがない
のに、SNSでお互いの近況を投稿しているうちに、親近感が湧くのです。営業は顧客
と普段から顔を合わせて、親密になることが求められましたが、今ではSNSで代用す
ることができます。

 では、どのように友達を作り、関係性を深めていくのか。以下にポイントをまと
めていきます。


1.同業者や同じ業界の友達を作ること

 直接顧客と友達になれると良いのですが、そのまえに相手と関係性を深めなけれ
ばいけません。特に顧客が大企業や官公庁の職員の場合は、個人的な活動であるSNS
と仕事は切り離す傾向があります。そのため、まず友達として申請するのは同業者で
す。
 競合と思われるかもしれませんが、情報交換や仕事の紹介など活発に行ない、仕事
を融通するケースが多くみられます。さらに同業者の中でも自社よりレベルが高い、
または実績が豊富な会社であれば、自社の経営革新につながるような情報を入手でき
ることもあります。


2.趣味のコミュニティで関係性を深める

 異業種交流会が各地で開催されていますが、実際に仕事につながるのは異業種交流
会より趣味の集まりや勉強会が多いと筆者は体感しています。
 ここで利用できるのがフェイスブックの「グループ機能」です。
 限定された友人で共通の趣味などについて投稿する機能です。限定された仲間うち
で、いつでも好きな事柄についてSNSで語り合うことができるため、仲間内の交流がぐ
っと深まります。好きな話題で盛りあがるうちに人間関係が深まり、仕事の紹介につ
ながります。


3.投稿内容に気を配ること

 投稿内容ですが、自分の好きな内容ではなく、相手への配慮が必要です。特に、政治
色の強い投稿、私生活でのグチ、仕事での不満は読み手から忌避されます。


4.コメントの出し方

 相手の投稿に対して、コメントを行うと相手と直接交流を行うことができます。ただ
し、コメントで注意してほしい点は2つ。
 投稿と全く関係のない挨拶だけのコメント、相手の投稿に乗じた自分の話題は避けま
しょう。投稿主がさらに返事をしてもらうためのコメントということを念頭に置きまし
ょう。

 コミュニケ―ションのあり方や相手への気配りは対面もSNSも同じこと。読み手に
配慮した投稿をぜひ心がけましょう。



               第3回「SNSの使い分けで、自社の情報を発信しよう」

 SNSは個人間の交流を広めるためのツールですが、自身の受注を高めるためには、
自分の仕事の情報発信も必須となります。友達に対して「○○さんはこんな仕事を
している」「○○さんは・・・の分野においてはプロだ」と知らせないと、単なる
友達付き合いで終わります。
 そのため、個人の方はプロフィールや基本情報欄に、自分の自己紹介、会社のホ
ームページリンク先を掲載することから始めましょう。
 そのうえで、投稿内容は仕事に関連性の高いものを掲載します。

例えば・・・

 飲食店 「今日20名限定でランチに出すスペシャルカレーの仕込みが完了! 味
の秘密はこの材料たち。そのままでは使えないので、朝6時から下ごしらえをして
おりました。ああ〜〜疲れたあ」(カレーと疲れた表情の自分の画像をアップ)

 工務店 「昨日、お客様に引き渡しが完了。奥さまが念願のマイホームの前で涙
ぐむ姿が印象的でした。かわいいお子様たちからこんなに素敵な感謝状をいただき
ました!この仕事やっていて本当に良かったと思う瞬間です」
(子供からの感謝状の画像をアップ。物件やご家族の画像はプライバシーにかかわ
るので避ける)

 ここでのポイントはあえて宣伝をしないこと。仕事そのもののアピールではなく、
仕事であった出来事を投稿していくのです。毎日、このような情報を投稿すること
で、自分の仕事の内容が友達に少しずつ浸透していきます。


 さらに、友達だけではなく第3者にも情報を広めるのであれば、こちらのSNSの特
性によって使い分けを検討します。

 ツイッター・・・140文字という制限があるSNS。リアルタイムでのやり取りのた
め内容は残らない。時事ネタなどに便乗した投稿や、お客様への直接の返信で注目
度を高めることができる。また、いったん注目を浴びるとリツイート機能により周
囲に拡散して、知名度が一気に高まる。ただし、匿名性が高いうえ、わざと挑発的
な投稿をする輩が多いため、炎上する危険性が最も高い。

 フェイスブックページ・・・フェイスブックの企業版。全体公開され誰でも見る
ことができる。個人のフェイスブックの友達にフェイスブックページを紹介するこ
とができるため、自社の認知度を高めることができる。

 インスタグラム・・・画像と簡単な投稿に限定したSNS。若い女性を中心に人気
が浸透している。画像が主となるので、確固としたイメージを持って投稿する必要
がある。ファッション関連、インテリア、カメラマンなど、デザインと関連が深い
業種に向いている。Twitterと異なり「いいね!」を押しても拡散しないため、認
知度を高めるのが難しい。

 ライン@・・・企業向けのライン。個人のラインに対して直接ダイレクトメッセ
ージによる宣伝が可能。そのため、既読率が非常に高い。ただし、自社のラインに
顧客が登録してもらうためのハードルが高い。

 なお、あれもこれもとやるよりは、自分に向いたSNSを一つ、活用したほうが成果
は出やすいです。
 自分の分身となるSNSをぜひ探して活用してみましょう。

                                 それから株式会社 代表取締役 稲垣 桃子   


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