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千葉県産業情報ヘッドライン

「千葉県産業情報ヘッドライン」バックナンバー
【連載特集】


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       インバウンドと口コミを活用して、海外の販売先を開拓!
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       第1回 「2020年東京オリンピックまで、あと834日!
         急増する訪日外国人(インバウンド)に商機あり!」

 「外国人が急増」、「外国人消費額が4兆円」、「外国人向け民泊解禁」など
とTVや新聞で取り上げられることが、多くなりました。

 一方で、2020年東京オリンピックの開催日まで、あと834日※となりました。
その前に、ラグビー・ワールドカップが開催されますが、こちらはあと526日※。
全国48試合、観客動員数の想定は、実に約200万人になります。
東京オリンピックでは、ラグビーの5倍、約1000万人とされています。
(※2018年4月12日時点での日数となります)

 そして、「インバウンドのオリンピック特需を商売に活用」と言われます。
では、具体的にどうすべきでしょうか?
そこで今回、一つの提案として「インバウンドを活用して海外の販売先開拓」
を、5回にわたり連載いたします。

■どうして訪日外国人(インバウンド)が、海外販売につながるのか?

 海外の顧客に、これまで見たことの無い商品が受け入れられるまで、かなり
時間が掛かります。
海外現地で、顧客に商品を手に取ってもらい、気に入られるまでは、本当に大変。
まず、どの国が良いか、どの顧客層に好まれるか、についての市場調査が必要。
市場が決まったとしても、顧客に使い方が伝わらない。何より価格が高い。
そこで、多額の広告宣伝費を掛け、一気呵成に攻めたとしても、リスクは大きい。

 その点、興味を持って来日した外国人にとっては、ハードルは低くなります。
こだわりを持った彼らは、自ら探し出し、やって来ます。しかも現地より安い。
最近では、商品に満足した彼らは、SNSと口コミでその感動を発信します。

 そうなんです。
訪日外国人に、私たちの商品やサービスの宣伝マンになってもらうのです。
口コミで評価された商品を、海外バイヤ(小売、卸・商社、代理店など)は求め
ています。
既に顧客が現地にいるので、海外バイヤのリスクは低く、売上を期待できます。

■そもそも、なぜ今、訪日外国人(インバウンド)を呼び込むのか?

 「日本は人口が減少するから、海外に販路を切り拓くんだ!」

海外へ販路を持つ経営者に理由を尋ねると、このような答えが返ってきます。

 ご存知の通り、日本の人口は毎年約40万人ずつ減少しています。
千葉県で言えば、柏市の人口が約41万人。
つまり、毎年、柏市と同じ人口が消えてしまう、そんな事態になっています。

 「でも、外国人労働者が増えているからな」と思われる方もいるでしょう。
実際、同じ一年で外国人労働者は、約19万人も増えました。
この外国人労働者も、家族を招いたり、土産を買って紹介したりしています。
つまり、外国人労働者もインバウンド対策には重要なのです。

■インバウンドはどれだけ伸びている?

 さて、気になる訪日外国人客数は、昨年2,869万人(伸び率19%)。
そして、外国人の消費額は、4兆4161億円(伸び率18%)でした。
日本経済の伸び率(成長率)は、昨年1.5%。
急成長している中国経済ですら、その成長率は6.8%です。
この「伸び率18%」は、実に驚異的な数字です。「5年で倍増」なのです。

■インバウンドが増えている理由とは?

 インバウンド急増の理由については、ご存知の通りだと思います。

(1)アジアの国々が豊かになってきたこと
特に東南アジアの都市部では、富裕層、上位の中間所得層が増えています。

(2)ビザ発行が大幅に緩和されたこと
2013年タイ、マレーシア、2014年中国、2017年ロシア。
そして、今年2018年は、インドに対するビザ緩和が予定されています。

(3)円安傾向が続いたこと

 「あれ?既に円高傾向で、インバウンドの急増は一過性じゃないの?」

そう、思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ところが、それほどでもないらしいのです。それについては、次回にて。

 次回は「実は超円安!?」「訪日外国人はいったい何を日本に求めて
いる?」について、お話ししたいと思います。



 第2回 「実は超円安!? 訪日外国人はいったい何を日本に求めている?」

 前回は、訪日外国人(インバウンド)の傾向と理由について話しました。
そして、そのインバウンド急増の理由の一つは「円安」でした。
しかし、このところ1ドル107円前後。さらに円高気配が強まっています。

 「もう円高になりつつあるし、インバウンド急増は一過性じゃないのか?」
確かにそうかもしれません。正直なところ、私もそう思っていました。

■実は「超円安」だった!?

 TV経済番組の中で「今は『超円安』なんです」という解説を耳にしました。
1ドル110円から円高になり、「なぜ『超円安』なんだ?変じゃないか!」と、
疑問に思い、確かめてみました。
そこで、物価を反映した為替レート(日銀「実効実質為替レート」)の推移
を、2000年の円ドル為替レートと同水準として、引き直してみたのです。
すると、驚きの結果になりました。

物価を反映した為替レートは、なんと180〜185円/ドル。
一般的な為替レートとは、約1.7倍もの開きがありました。

http://wakokorojapan.com/超円安?本当ですか?/

 そう言えば、物が安いはずのアジアで、値段が上がったように感じませんか?
アメリカや欧州に行けば、「日本の方が安くて美味い!」がいつしか口癖に。
逆に、来日した外国の友人は、「日本は安い!」と、妙に感動していました。
なぜ、来日した外国人は「日本は安い」と感じるのか。
そう、その理由は「物価水準の違い」だったのです。

18年間、デフレに喘ぐ日本と異なり、外国の物価は上がり続けていたのです。
この約1.7倍もの開きは、そう簡単に縮まりません。
つまり「多少の円高ではインバウンドのブレーキにならない」と思われます。

■しかし「超円安」でも「円高」になれば、輸出に影響する

 ただし、外国で買う日本商品は、別でしょう。
現地小売価格は、輸送料・関税などが加わって、日本の価格の2〜3倍以上。
円高になれば、その分だけ、値上げされることになるでしょう。
つまり、訪日外国人だけが、この為替のマジックの恩恵を受けるのです。
その点、ご注意ください。

(以下、「訪日外国人」より「外国人旅行者」に焦点を当てていきます。)

■外国人旅行者が求めていること、とは?

 4月に2017年「訪日外国人消費動向調査(観光庁)」が発表されました。
http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html

観光目的で来日した外国人が「訪日前に期待していたもの(複数回答)」とは

1位 71% 日本食を食べること
2位 59% ショッピング
3位 51% 自然・景勝地観光
4位 44% 繁華街の街歩き
5位 30% 温泉入浴

となっています。(上位5位)
つまり、食事・買い物・観光・街歩き・温泉の順です。ここまでは想定内。

ところが「再び来るなら何したい?(次回したいこと)」では少し変わります。

1位 55%(16↓)日本食を食べること
2位 45%(13↓)ショッピング
3位 43%( 8↓)自然・景勝地観光
4位 43%(13↑)温泉入浴
5位 32%(12↓)繁華街の街歩き

となり、温泉入浴以外は、軒並みポイントを下げているのです。
逆に、伸びているものを列挙すると、以下の通り。(8ポイント以上)

4位 43%(13↑)温泉入浴
6位 30%(18↑)四季の体感(花見・紅葉・雪等)
9位 25%( 8↑)日本の歴史・伝統文化体験
11位 21%( 8↑)日本の日常生活体験
13位 17%(12↑)スキー・スノーボード
14位 15%( 9↑)自然体験ツアー・農漁村体験
16位 12%( 8↑)舞台鑑賞(歌舞伎・演劇・音楽等)

これらに共通するものは、いったい何でしょうか?

それは「個人的な体験」「旅行テーマ」なのではないでしょうか。
「次回の来日でも、今回同様、食事・買い物・観光・街歩きをする。
でも、もっとテーマやこだわりを持って来日する」ということのように思います。

実は、これは、私が外国人の友人から聞いた意見とも合っているのです。

「日本人は、リフレッシュのために休暇を使うのか。電池みたいだね!
ヨーロッパ人のバカンスの目的は、人生を変えるような体験だ。特別なもの。
だから1週間なんて、とても足りない!」(スイス人)

「日本に初めて来たときは、パッケージツアーで一通り観光したよ。
でも次なら『自分ならでは』の旅行テーマを追求するね。」(アメリカ人)

この「特別なもの」「自分ならでは」、つまり「こだわりの旅行テーマ」が、
外国人を呼び込むヒントになると思うのです。
商売は、顧客の感動体験がきっかけになります。
美味しい、きれい、おもしろい!など。
その体験が「特別」「こだわり」であるほど、顧客満足度は、高まります。
そして、問題は「そのような『こだわり』の外国人をどう誘客するのか?」。

 次回は「どうすれば外国人を呼び込める?」「地方を旅する『こだわり』の
外国人が増えている?!」について、お話しします。



第3回 「どうすれば外国人を呼び込める?
     地方を旅する「こだわり」の外国人が増えている?!」

 前回、観光庁データから「外国人の旅行目的」についてお話しました。
今回は、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」(孫子)ではありませんが、
さらに外国人旅行者の特徴を掘り下げ、その行動パターンを見ていきます。

 まず、外国人と日本人の生活意識の違いについて、おもしろい調査結果を
見つけましたので、ご紹介します。

以下は、博報堂「訪日経験のある外国人の生活意識」の中から、日本人と比べて
特徴的なものをピックアップしたものです。(出典:木戸良彦「超日本製品論」)

・66.3%(46.3%)「楽しさ、面白さを求め、生活をエンジョイしたい」
・58.2%(43.2%)「人間関係を重視していきたい」
・57.9%(30.8%)「新しい人と出会うことは楽しい」
・55.4%(42.2%)「自分の思い通りの生活をしたい」
・47.4%(37.7%)「仕事よりも、生活を楽しむことを重視したい」
・45.5%(14.9%)「自分の人生の計画をきちんと立てるほうだ」
※ 訪日経験のある外国人比率。カッコ内は日本人の比率。

いかがでしょうか。
日本人と比べて、「個人的なテーマを追求する外国人像」が透けて見えてきます。
このメルマガを読まれて、「ああ、そう言えば」と思われる方も多いのでは。

 さて、ご存知のように、地方でも外国人を見かけることが多くなりました。
もちろん、日本で働いている人も多いのですが、旅行者も多くなってきました。
彼らは、団体ツアーではなく、その多くが「個人手配旅行」で来日しています。
自分で航空券を手に入れ、宿泊先を予約し、自由に日本国内を移動します。

日本でも「個人手配旅行」を楽しむ方が増えていると思います。
では、外国人旅行者の場合は、どのように動くと思われますか?

■「地方を旅する外国人」は、旅行をどう組み立てる?

 「地方を旅する外国人」は「こだわりの旅行テーマ」を持って来日しています。
外国人にヒアリングした「個人手配旅行の組立て方」をご紹介いたします。

<A. 来日前・・・計画準備>
 (1)国、旅行テーマ :旅行メディアや口コミ(SNS)等でテーマを思いつく。
 (2)滞在エリアを絞る:テーマに合わせて検索、ブログ等を参考。
 (3)宿泊先と交通手段:予算から宿泊先を決めて、空港からのアクセスを確認。
 (4)予算に合えば予約:旅行会社や旅行情報サイトを使用。

<B. 日本にて>
 (1)通貨両替    :カード決済、スマホ決済できないところがあるため。
 (2)通信・通話   :SIM入手。(あるいは世界対応のAppleSIMなどを使用)
 (3)現地で調べて訪問:ホテルのコンシェルジュ、旅行者案内所で相談、検索。
 (4)体験後に発信  :写真・動画の撮影。自撮り。おもしろネタをSNSへ投稿。

<C. 帰国後>
 (1)レビュー投稿  :旅行会社・旅行情報サイトからレビュー依頼が来て投稿。
 (2)知り合いに伝える:自分の体験を友達・家族に披露。
 (3)次のテーマ計画 :リピートするかも含めて検討。

 いかがでしょうか。
「自分でも同じことをしているな」と思われる方もいらっしゃるのでは。

彼らは、「A.計画準備」に、あれこれ楽しみながら数か月を掛ける、とのこと。
「長期休暇が終わった瞬間から、次のテーマを探し始めるんだ」(スイス人)

そして、「こだわりの旅行テーマ」を持って来日する場合、日本人ですら知らない
スポットも調べて訪問します。
それぞれの国に、「日本の旅行」を取り上げた旅行メディアがあります。
また、日本語のホームページを読みこなす外国人も増えてきました。
「スマホのAI翻訳機能で、日本語ページをまるごと翻訳できるよ」(台湾人)

■こだわりの旅行テーマとは?

 まず、外国人に人気のスポットととして、
・伏見稲荷大社
・白川郷
・ロボットレストラン
・渋谷スクランブル交差点
・サル居酒屋、猫カフェ
などといった「おもしろネタ」「動物ネタ」が有名です。

しかし、最近の各国SNSを見ると、体験テーマ(ものづくり、酒造り、農業収穫)と
いった、よりディープなものに広がっているようです。
例えば、新潟県・燕三条地域の「工場の祭典」は、町の工場(こうば)が中心となり、
地元の酒蔵を巻き込み、海外の旅行者をも集客しています。
http://r-tsushin.com/feature/movement/beyond_ordinary_itineraries_tsubamesanjo.html

 中小企業が守り続けた「こだわり」は、それをおもしろいと思う日本人、そして外国人
を惹き付けているように思います。
その「こだわり」「おもしろさ」を発信すれば、一部のファンがまず動きます。
そして、同じ「こだわり」を持つ外国人が、同じ感動を求めて、海山を越えてやってくる
のだと思います。

 「インバウンド、そして口コミを商売に活用」は、一見遠回りのようです。
しかし、こうして辿り着いたファンと友好を育てることが、資産になります。
大企業がやりにくい「個人のつながり」によって、ファンがファンを呼ぶのです。

そのためには、何が必要でしょうか?
まず、外国人の方が日本を「おもしろい」と思うように、私たちも彼らを「おもしろい」
と感じて、温かく受け入れてあげることが「肝要」だと思います。

■個人手配旅行の外国人を集めるための勘どころとは?

 では、具体的な集客について考えてみましょう。
ヒントは、彼らの行動パターン「個人手配旅行の組立て方」になります。
つまり、重要な集客のタイミングは、まず「A.来日前の計画準備」でしょう。

 つまり、旅行メディア、口コミ(SNS、ブログ)などを活用することです。
「では、どうすりゃいいんだ」と思われると思います。
しかも、口コミをコントロールすることはできません。
その点については、次の回にて。

第4回は「SNSと口コミを活用したマーケティング」について、お話します。



        第4回 SNSと口コミを活用したマーケティングとは?      

 前回は、個人手配旅行の外国人の「旅行の組立て方」について話しました。
今回は、それを踏まえて「彼らをどのように誘客すべきか」について考えます。
以下、少し長くなりますが、SNSマーケティングをまとめてみました。

■海外ではどんなSNSが流行っている?

 日本では、フェイスブック、ツイッター、LINE、ユーチューブ、インスタグラムが
一般的だと思います。
アジアでもほぼこの傾向は変わりません。(但し、中国を除きます。)
フェイスブックは、アジア各国でほぼ1位。
動画系ではユーチューブが、画像系ではインスタグラムが、流行しています。
つまり、外国人旅行者も、このSNSを使い込んで来日し、周遊しているのです。

※ 但し、中国では、情報統制を強めていますので、以上のSNSは禁止。
代わりに、
・微博(ウェイボー。中国版フェイスブックやツイッター)
・微信(ウィーチャット。中国版LINE)
・優酷、土豆(中国版ユーチューブ)
などが使われています。

http://wakokorojapan.com/アジア各国では、どんなSNSが使われている?/

■ユーチューブを商売に使っていますか?

 「ユーチューブ、もう既に使ってるよ!」という方も多いと思います。
宣伝の一環として動画を撮り、ユーチューブに登録。
それを、自社ホームページに貼り付けて公開。これで、動画を配信。
でも、ちょっと待ってください。
ユーチューブの動画を登録しても、すぐに検索結果順位は改善されません。

ご存知の通り、ユーチューブはグーグルの子会社で、検索エンジンそのものです。
ユーチューブから自社ホームページに誘導するためには、「ユーチューブの説明欄に、
商品説明、会社名、そして自社ホームページのアドレスを掲載すること」が必要なのです。
これで以下のような顧客の道筋(動線)を作ることができます。

動線A:グーグル検索 → ユーチューブ → 自社ホームページ
動線B:ユーチューブ → 自社ホームページ

自社ホームページもユーチューブ動画も検索順位が徐々に改善されると思います。
仮に、未対応でしたら、ぜひ内容を見直してみてください。

 さて、外国人旅行者に対しても同様のアプローチが使えます。
(1)自社の英語ページを作成。
(2)ユーチューブの動画に、英文テロップを表示。
(3)ユーチューブの説明欄に、英語の説明、会社名、ホームページのリンクを掲載。

重要なのは、動画タイトルや説明文に「英語キーワード」を必ず盛り込むこと。
関連動画としてリストアップされることで、自社ホームページに誘導できます。
もちろん、動画そのものが興味を引く内容であればあるほど、誘客力が増します。


■では、インスタグラムをどう活かす?

 「動画は難しい。写真だったら、、、」という方には、インスタグラム。
2017年流行語大賞「インスタ映え」のインスタグラムも商売に活用できます。

 ご存知の通り、画像系のインスタグラムは、フェイスブックの子会社です。
ですから、フェイスブックと連動させることも可能です。
残念ですが、画像に会社ホームページのリンクを貼ることができません。
但し、投稿者のプロフィールに、記載できるので、こちらを使って誘導します。

動線A:インスタグラム → フェイスブック →自社ホームページ
動線B:インスタグラム → 自社ホームページ

インスタグラムの場合は、ハッシュタグ(キーワードと同じ)を活用します。
以下、インスタグラム活用の勘どころをまとめました。

(1)商品を買ってもらいたい「顧客イメージ」を想定
(2)「顧客イメージ」に当てはまるユーザーを選定
(3)商品に該当するハッシュタグ(キーワード)を一覧化、種別・重要度で分類
(4)自社の商品の「きれいな画像」「おもしろい画像」を撮影
(5)最適なハッシュタグを複数列挙して画像を投稿
(6)「顧客イメージ」に当てはまるユーザーをフォローして、互いに参照

 こちらも外国人旅行者を対象にするなら、
(1)投稿者のプロフィールを英語で記載
(2)来日経験のある「顧客イメージ」に当てはまるユーザーを探しだす
(3)英語のハッシュタグ(キーワード)を一覧化
(4)そしてもちろん、外国人旅行者に受ける「インスタ映え」した画像が望ましい


■実は、もっと「外国人旅行者」に響く「旅行口コミサイト」

 前回、「個人手配の外国人旅行者はこだわりの旅行テーマを持って来日」と話しました。
実は、海外には、海外旅行に特化した「旅行口コミサイト」があります。
例えば、2015年、「ふなばしアンデルセン公園」がディズニーランド、ディズニーシーに
次ぐ日本のテーマパーク3位になったことを覚えていらっしゃる方もいるでしょう。
http://tg.tripadvisor.jp/news/advice/funabashi_andersen/

 そうなんです。
トリップアドバイザーは、世界最大の「旅行口コミサイト」。
日本語でも英語でも、口コミは機械翻訳され、現地語で紹介されています。
しかも、観光に値するものなら、なんと自社でも登録することができます。
見学、試飲・試食、体験・ワークショップ、買い物、食事、催事イベントなど。
ポイントは、「個人的な体験」「旅行テーマ」であること。(第2回参照)

 観光先進国と言われる英国、フランス、米国、タイなどでよく使われています。
一方で、日本、特に千葉県では、まだ活用されている例は少ないようです。
近い将来、日本でも、登録がもっと盛んになると思われます。
情報に埋もれる前の、今なら、トライしてみる価値が十分にあります。
しかも気になる登録料金は、なんと無料。

 その他の、アジアで使われている、主な旅行口コミサイトを列挙します。
・ネイバーカフェ:韓国人による旅行口コミサイト
・マーファンウォー:中国人によるもの
・背包客棧(ベイバオカージャン):台湾人によるもの
・パンティップ:タイ人によるもの
・イエルプ:旅行ではなく、ローカルビジネスの口コミ。外国人労働者が活用
 
 特に、一見の価値があるのは、中国のマーファンウォー。
驚くほど多彩な写真、こだわりの旅行記、旅行日程表の数々。
他国の旅行口コミサイトと比較しても、バラエティに富んでいます。
中国人の本音も垣間見えて、とても興味深いです。ご参考ください。
http://www.mafengwo.cn/


■では、口コミサイトをどう組み合わせて使えばよいのか?

 インバウンドに使われる口コミサイトは、大きく2種類に分かれます。

(1)SNS:ユーチューブ(グーグル)、インスタグラム(フェイスブック)
 積極的に会社や個人を登録し、こだわりの商品の画像や動画をどんどん投稿。
忘れずに、会社ホームページに誘導し、会社所在地と商品・サービスをPR。

(2)旅行口コミ:トリップアドバイザー、マーファンウォーなど
 実際に、生産・収穫・製造の現場に来てもらい、現場でしかできない特別な体験を味わって
いただき、その感動を顧客に投稿していただく。
もちろん、トリップアドバイザーについては、事前に自社で登録しておきます。

 「でも、そんな都合よく、投稿してくれないんじゃないの?」
そう思われる方も多いと思います。


■SNSマーケティングの秘訣は、「日本に住んでいる外国人」!

 第1回で申し上げたように「外国人労働者もインバウンド対策に重要」です。
母国語を自在に使い、日本と自国の違いを知り、たぶん日本に愛着を持っている。
そう、まず外国人労働者をターゲットにしましょう。

「外国人の友達がいるよ」という方、大変ラッキーです。大事にしてください。
そうでなくとも店舗や催事を訪れた在日外国人と、良好な関係を築いてください。
彼らと親密になり、上記のSNSや口コミを手伝ってもらえると、最強です。
何たって、彼らは「人間関係を重視している」のですから。(第3回参照)

次回は「どうすれば海外の販売先を開拓できる?」について、お話しします。


           第5回「どうすれば海外の販売先を開拓できる?」

 前回は、「SNSや口コミを活用したマーケティング」について話しました。
最終回は、これまでにお話してきたマーケティングを使って、海外販売先を開拓す
る手法についてお話したいと思います。

 さて、メルマガを読んでいただいた方から、個人的に質問を受けました。
この場をお借りして、補足説明をしたいと思います。

■素朴な疑問(1)「口コミは、コントロールできないじゃないか?」

 その通り。
口コミやSNSの投稿の内容をコントロールすることはできません。基本的に。
しかし、親しくなった外国人旅行者や在日外国人の方に、口コミを書いてもらうよ
うに、働きかけることはできます。

 大事な点は「おもてなしの心」でしょう。
外国人旅行者にとって「日本人は外国語苦手」というのは、周知の事実です。
ですから、大丈夫。英語は片言でも、気持ちは十分に伝わります。
興味を持ってもらったら、旅行者のスマホやカメラで写真撮影してあげましょう。
さらに満足してもらったら、口コミサイトへの投稿を頼んでみるのです。
自社のトリップアドバイザーや、SNSページを見せてあげても良いと思います。
(ご注意:トリップアドバイザーでは、投稿目的の値引き・プレゼントは禁止!)
できれば、訪問のきっかけ(旅行サイト、口コミなど)を教えてもらいましょう。

■素朴な疑問(2)「旅行者に、店舗や催事イベントに来てもらうためには?」

 第4回で、自社ホームページ(英語。1ページでも可)や、口コミサイトの登録・
投稿(トリップアドバイザー、ユーチューブ、インスタグラムなど)の活用をお話
しました。
これを、外国人旅行者が「来日前、旅行テーマや旅行情報を収集」する時、参照し
てもらうのです。(第3回)

 また、来日後であれば「現地での情報収集」の際に、旅行者は「ホテルのコンシェ
ルジュや旅行者案内所」に尋ねます。(第3回)
ですから、英語のチラシ(1ページもので十分)を作って、ホテルや旅行者案内所に
面談を申し込んで説明し、チラシを置いてもらうと良いと思います。

 某カリスマ・コンシェルジュに「多忙なコンシェルジュに、外国人旅行者向けの
体験イベントなど説明したいからと、面談を申し込むことは可能ですか?」と質問
したことがあります。
すると、「コンシェルジュは、いつも宿泊地周辺の体験イベントなどを探していま
す。かえって喜ばれると思いますよ。」とのことでした。
ですから、臆せずにホテルや旅行者案内所にどんどんアポを取って、情報提供いた
しましょう。

■素朴な疑問(3)「そもそもSNSや口コミで、海外取引先が見つかるのか?」

 確かに「海外の顧客に受け入れてもらうまで時間がかかります。」(第1回)
例えば、海外バイヤ(小売、卸・商社、代理店など)に商品を売り込むとします。
すると、まず「日本での知名度」を尋ねられます。
海外バイヤも心配なのです。はたして購買ニーズがあるのかどうか、と。

 仮に、いきなり海外市場へ商品を持ち込んでも、そう簡単に売れません。
現地で何度も実演販売を行い、「やって見せ、使ってもらって、感動し、また欲し
いと感じてもらって、初めて定着する」ようです。

 インバウンドでは「やって見せ 〜 感動し」の部分を体験してもらうのです。
つまり、この海外バイヤを通り越して、直接、顧客にアプローチするために、イン
バウンドを上手に活用するのです。
これまでにお話したように、
・私たちと同じ「こだわり」を持つ外国人旅行者と「友だち」となること。
・彼らの口コミ、SNSで取り上げられて、話題として拡散してもらうこと。

しつこいようですが、時間も手間もかかります。
しかし、このきっかけが海外バイヤを動かす有力なエビデンスとなります。


■海外バイヤからの伝授!「一歩進んだ展示会の使い方」

海外販路開拓の最後のステップは、海外バイヤとの商談と取引成約です。
そのためには、海外バイヤを対象とした、次のような機会を活用しましょう。
(1) 海外展示会、見本市への出展
(2) 海外商談会への参加
(3) 海外フェア/ツアーへの参加

 海外で開催される展示会・商談会への出展・参加は、コストがかかります。
一方で、最近では自治体・JETRO・金融機関が主催して海外バイヤを招き、国内で
開催されることも多くなり、海外へ出向くよりもまだ安価と思います。
既にこのような機会を活用して、海外の取引先を開拓された方も多いと思います。

 私は、海外で食品卸を営む旧友と一緒に、毎年、海外展示会を回っています。
その友人(アメリカ人)が、興味深いことを言っていましたので、ご紹介します。

友「日本の展示会は、海外とはだいぶ違うね」
私「どうして?出展者も参加者も多くて盛況だったろう」
友「そこじゃない。海外では、対面商談が一番の目的。日本では、展示や名刺交換
 が目的みたいだ。」
 「まず、商談スペースがあまり無い。」
 「取引を詰めようにも見積価格(FOB港渡し価格)や決済条件も準備されていない。
 取引効率が悪い。」

 他の海外バイヤ(香港、台湾、タイ)に尋ねてみましたが、ほぼ同じ意見でした。
確かに、対面ではとても良い反応でも、その後メールの回答が返ってこないことは
ありませんか?

 そうなんです。
海外バイヤは、展示会を「対面商談」の場としてフル活用しているようなのです。
ですから、事前にできるだけ準備をしておくことが必要です。
海外バイヤが興味を示したなら、事後のメールのやり取りではなく、その場で取引
成約に持ち込む方が良いのです。


■これからの海外販路開拓の方法とは?

 最近では、海外バイヤとの商談会を併設した展示会が増えてきました。
また、商談会を前提とした展示会も開催されるようになってきました。
食品分野の例では、10月開催の「“日本の食品”輸出EXPO」があります。
これは、商談目的のため、商談スペースと通訳の設置が、出展条件です。
このような海外バイヤを対象とした欧米流の展示会が増えると思われます。

 また、海外では、ネットやスマホを使った、ネットB2B取引(企業間取引)サイト
が普及しつつあります。
ご存知の方も多いと思いますが、中国のアリババ、イギリスのEsources、韓国のEC21
などです。
企業間取引の場合は、単発一回の取引で終わらず、継続的な商売になります。
そのため、ネットだけですぐに取引成立、というわけには行きません。
やはり、展示会や見本市という対面商談の場がやはり重要です。
つまり、ネットB2B取引サイトは、対面面談の場(展示会・商談会・見本市)などと
組合せて、
・事前の商品検索(バイヤにとって。ホームページと連携させる)
・事後の商談フォロー
といった用途に使います。

 当社でも、日本食品に特化したネット商談会(JBマーケット)を運営してます。
海外バイヤと英語でのやり取りに苦労されていませんか?
JBマーケットでは、AI翻訳が搭載されています。
海外バイヤとのやり取りを、日本語で行うことができます。

 また、さきほどの「“日本の食品”輸出EXPO」に、こだわりの生産者の方々にお
集まりいただき、共同出展する予定です。
もちろん、国内商社と連携し、事前に海外バイヤと連絡を取り、本番に臨みます。


■(最後に)日本はテーマパークになる!?

 日本に住んでいる外国人の友人と話していたら、次のように言われました。
「近い将来、日本はアジアの、そして世界のテーマパークになるよ。」
彼の友人は、北海道スキーを楽しむため、毎年3回家族で来日するとのこと。
日本の自然と四季と文化は、彼らにとって「何度でも味わいたい体験」です。

 運が良いことに(?)、私たちは大国であるアメリカ・中国・ロシアに挟まれ、
成長著しいアジアの中でも「極東」として位置付けられています。
こんな国は他にありません。
しかも、海外顧客から、
「カッコイイ、センスが良い」
「活気や勢いを感じる」
「明確な個性や特徴がある」
「時代を切り拓いていく感じ」
と見られています。(出典:木戸良彦「超日本製品論」)

 であれば、今こそチャンスです。
ブームになりつつあるインバウンドにうまく使いこなしましょう。
そして、自らのこだわりを世界にアピールしていきましょう。
日本が「世界のテーマパーク」になる前に、ぜひ。

最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。

ジェイビーマーケット株式会社 代表取締役 植草 啓和

JBマーケット(インターネット食品商談会)
https://jbmarket.jp

和心品質(海外進出情報サイト)
http://wakokorojapan.com/

          


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