このように各方面にインパクトを与え、日々拡大し続けているインターネットですが、 今後も健全に発展していけるのでしょうか。
実は、インターネットにも幾つかの問題点があります。
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ネットワークインフラの問題 |
利用者から見たネットワークについて、現在主流となっているインターネット 接続インフラは、大きく分けて
専用線を使用するもの
公衆回線を使用するもの
の2種類があります。
専用線は回線速度がある程度増速できるので、金銭的な折り合いさえつけば、 快適に利用することが可能です。
ただ最も安い専用線接続でも、(公衆回線に比べれば)相当高額になるので、誰もが 利用できる訳ではなく、特に個人利用についてはまず不可能でしょう。
公衆回線はすなわち電話やISDNの事であり、最寄りのアクセスポイントにPPP (Point to Point Protocol)で接続します。
IP接続なので、専用線接続で使えるアプリケーションはほとんど利用可能です。
しかし電話回線で利用可能な最高速度である28.8Kのモデムを利用しても「快適」 とは言いがたいのが現状です。現在、費用に対して最も快適なのは、
ISDNによる利用 であると言えます。
ただ、いずれにしてもプロバイダ側の設備調達が需要に対し追い付かず、十分な 実効速度が得られないなどの問題を抱えていたり、
インターネットの先進国である米国 に比べて、料金が割高になるなど、必ずしも快適に(安価に)使えるように整備されては いません。
これらについては、CATVの普及や高速回線の戸別配線化など、大規模な投資が必要で あるため、一朝一夕には実現されないでしょう。
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プロトコルの問題 |
インターネットの発展を支えた一つに、TCP/IPの採用が挙げられます。 しかし現在のネットワーク基盤の多様化に対し、追随しきれていないという面が
でてきています。
インターネットを構成するネットワークの中にはATMを始め、非常に高速なネットワーク もあれば、無線通信などの低速なネットワークも混在しています。
そのような環境の中で、TCP/IP、特にIPがネットワークのパフォーマンスを十分に 活かし切っていないと考えられるようになりました。
またIPプロトコルが管理できるアドレス情報は32ビットのサイズであり、このIPアドレス が残り少なくなっていることも、
今後のインターネット普及を阻害すると考えられています。
そこで、新たなるIPの規格IPng(IP Next Generation)が検討されています。
IPngは
128ビットのアドレス情報を管理
高速通信網に適した設計
低速通信でも利用可能
現在のIPとの互換性を保持
などの特徴があります。
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インターネットにおける最も大きな脅威はセキュリティの 問題 |
インターネットは世界中のPCやWSなどありとあらゆるコンピュータをTCP/IP通信網
で結ぶという構造上、「その気になれば」接続されている全ての コンピュータに
「不法に」侵入することも可能です。
また侵入者に狙われずとも、ネットワークの設定によっては本来外部に流したくない 内部情報までも垂れ流しにしてしまう危険性があります。
このように、インターネットとの接続には、常に細心の注意を払い、セキュリティ 上、問題が指摘された部分(OS、プログラムのバグ、セキュリティホールなど)
には 迅速に対応しなくてはなりません。
インターネットのセキュリティ問題に関連して、重要な問題のひとつに「コンピュータ ウィルス」があります。
コンピュータウィルスの被害には、データを改ざんしたり、システムのハード障害を 引き起こすといった一次的なものと、関係したコンピュータ全てに伝染する
という 副次的なものがあります。
インターネット上には、便利なツールやデータなどが無償、あるいは低廉な価格で 流通していますが、中には意図する/しないにはかかわらず、
ウィルスに感染して いるものも存在しています。
こうしたツールの入手、インストールに当たっては自己責任において行い、万一に 備えてバックアップ等の対策をとることも必要でしょう。
また日本ではコンピュータウィルスへの感染が認められた場合、IPA(Information -technology Promotion Agency:情報処理振興事業協会)への報告が義務づけられています。
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最後にネットワーク上を流れる情報自体の問題。 |
インターネットはあらゆるデジタルデータをその内容に関係なく、透過的に通信 できるため、中には公序良俗に反する情報を流すケースも見受けられます。
しかもインターネットでは、利用者の年齢などが必ずしも特定できるわけではないので、 社会に与える影響が憂慮されます。こうした中で、情報を内容によって
規制するような 動きもあり論議を呼んでいます。 |