1.1 昔はP2Pだった |
最近注目されているP2Pネットワークですが、実はかなり昔から存在していたものなのです。
インターネットの原点とも言われているARPANETは、ネットワークの一部が損傷を受けても稼動するネットワークの
構築を目的として1969年に開発されました。
このARPANETは当時主流だった中央集中型ではなく、分散型のネットワークであり、全てのコンピュータが対等に
相互通信(peer to peer)が可能な形態をとっていました。
また、その後に出現したUSENETもP2Pの形態をとっていました。
USENETは、電話回線を利用してコンピュータを接続し、データをやり取りしていました。
データのやり取りの多くは夜間に一括で行われており、ユーザの要求があったときにサービスを提供するようなこと
はできなかったため、P2Pの形態をとる必要があったのです。
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1.2 WWWの台頭 |
1991年にWWWが広く一般に公開されたのをきっかけに、インターネットが普及し始めると、相互接続形態は失われ始めました。
なぜなら、ほとんどのコンピュータはクライアントとして動作すればよく、サーバとしての機能は必要なかったからです。
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1.3 再びP2Pへ |
1999年に発表されたP2Pベースのファイル共有アプリケーションが脚光を浴び、これによって、 P2Pがインターネット上でも機能すること、また大規模な運用が行えたということでP2Pの可能性を 認識することになりました。
ところで、個々のコンピュータの処理能力の飛躍的な向上と、
ADSL等の帯域幅の向上と接続コストの低下によりトラフィックは増加する一方ですが、
ネットワーク上の資源(情報・帯域幅・コンピュータの資源)は有効に活用されていると
はいえるのでしょうか?
毎年世界中で2エクサバイト(2ギガバイトのさらに1000000000倍)の情報が生み出されていますが、
表に出てくる情報は300テラバイト(3ギガバイトの100000倍)で、googleが補足しているWebページの
数は13億ページだけという調査結果があります。
帯域幅については、人気のあるサイトにトラフィックが集中する(人気の無いサイトへの帯域幅は使われないまま)ため、
帯域幅の大幅な増加にもかかわらず、ネットワークが混雑していると感じる原因の一つにもなっています。
コンピュータ資源については、プロセッサの処理能力や、ディスク容量が大幅に増加しているにもかかわらず、
資源は一部に集中して使用され、普段私たちが使っているPCの多くはアイドル状態となっています。
これらの問題を解決するとしてP2Pが期待されているのです。 |