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千葉県産業情報ヘッドライン【連載特集】 価値を価値を再定義する・中小企業のための「売れる仕組み」構築術 バックナンバー

  • [2026年4月24日]
  • ID:3907

連載

価値を再定義する・中小企業のための「売れる仕組み」構築術

合同会社メイクスアンドシングス代表社員・工業デザイナー 眞鍋 玲

 第1回 なぜ「良いもの・サービス」が適正価格で売れないのか?(2026/4/16発行 第1058号 掲載)

第1回 なぜ「良いもの・サービス」が適正価格で売れないのか?

「うちは真面目に、丁寧な仕事を続けている。でも、なかなか利益が残らない…」

経営者の方々と対話をする中で、業種を問わず共通して耳にする言葉です。

製造業、サービス業、小売業。職種は違えど、多くの現場で「価値に見合った対価を得られていない」という閉塞感が漂っています。「一生懸命」だけでは報われない時代の正体とは一体なんなのでしょうか? 

現代はモノもサービスも溢れ返り、顧客の選択肢が無数にある成熟社会です。加えて、近年の物価高騰やエネルギーコストの上昇が、多くの中小企業の収益を容赦なく圧迫しています。

今、私たちが直面しているのは、単なる不況ではありません。これまでの「頑張れば報われる」というビジネスモデルそのものが、構造的な限界を迎えています。


◆安売りスパイラルを招く「価値のズレ」

心血を注いだ仕事が正当に評価されない最大の原因は、作り手が考える「価値」と、顧客が求めている「価値」の間に生じている「ズレ」にあります。

例えば、技術者が「精度」に命をかけていても、顧客が求めているものが別の要件であればその高度な技術力は価格に反映されません。

例えばサービス業において、過剰なまでのおもてなしが、実は顧客にとって「過干渉」だと感じられていたら、それは付加価値ではなくコストになってしまいます。

価値として認識されない以上、商談のテーブルでは「価格」という最も残酷で分かりやすい指標だけで判断され、安売りスパイラルへと飲み込まれていくのです。


◆「物価高」をチャンスに変える適正価格への転換

「この状況で値上げなんて言えない」と足踏みをしてしまう気持ちは痛いほど分かります。しかし、あらゆるコストが上がっている今こそ、自社の提供価値を再定義し、価格を適正化する最大の好機でもあります。

安売りを続けることは、一見「顧客のため」に見えますが、その実態は自社の未来を削っていることに他なりません。利益が出なければ、疲弊し、投資もできず、健全なサービスを維持することもできなくなります。

大切なのは、「高く売る」ことではなく、「価値を適切に届けて、納得感を持って買ってもらう」ことです。自社が誰の、どんな痛みを解決しているのかを明確に言語化できれば、物価高の今だからこそ、顧客は「高くてもあなたにお願いしたい」と選んでくれるようになります。


◆自社を知るための健康診断

変化を起こすには、まず自社の「健康診断」をしてみましょう。

事業の継続が難しくなるほど体力が削られる前に、以下の3つの問いを自社に投げかけてみてください。


1.「もし明日、当社が廃業したら、お客様は何に一番困りますか?」

(これが、あなたが提供している「真の価値」の源泉です)

2.「競合と比較された際、最後に選ばれた『決め手』は何でしたか?」

(価格以外に、選ばれる理由が必ず隠れています)

3.「今の価格は、5年後の自社を存続させるための投資を含んでいますか?」


この問いに向き合うことで、「実は技術力よりも、トラブル時の即応性が喜ばれていた」「商品そのものより、店主のアドバイスに価値があった」といった「宝」が見えてくるはずです。


◆変化していくための序章として

本連載のテーマは「売れる仕組み構築術」です。仕組みとは、根性や偶然に頼らずとも、適正な利益を生み出し続ける構造のことです。

自社の価値を再定義し、仕組みを整えるには、少し時間がかかります。しかし、今この瞬間に動かなければ、市場の変化という荒波に飲み込まれてしまいます。

次回からは、この健康診断で見つけた自社の強みを、どのように「具体的な商品・サービス」へと昇華させ、新しい販路を切り拓いていくのか。その実践的なステップについてお話ししていきます。

今こそ、自社の価値を信じ、新しい一歩を踏み出す準備を始めましょう。


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公益財団法人 千葉県産業振興センター総務企画部企画調整課 産業情報ヘッドライン

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