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千葉県産業情報ヘッドライン

「千葉県産業情報ヘッドライン」バックナンバー
【連載特集】


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            経営者のための事業承継
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  第1回 今、何故後継者問題なのか・千葉県事業引継ぎ支援センターの設置


 2014年9月時点の中小企業の経営者の平均年齢は60.6歳(東京商工リサーチ調べ)
と2009年以降毎年高齢化が進んでいます。
 経営者が高齢化していく中で、事業の承継はスムーズに進んでいるのかといえば、
あにはからんや、全国284,412社中186,042社(65.4%)が後継者不在(帝国データバン
ク調べ)となっているのが現状です。
 帝国データバンクが2014年に調査した千葉県内後継者に関する調査では、8,278社
中5,290社(63.9%)で後継者が決定していません。
 業種別では建設業で70.4%、サービス業65.0%、運輸・通信業62.9%、卸売業62.3%、
製造業56.7%とあらゆる業種で半数以上が後継者不在という調査結果です。
 年代別でみると、安定経営を継続していくためには後継者が決まっていなければ
ならないといえる50〜80歳代での経営者不在率は56%とかなり高率です。
 後継者不在ということは経営が継続できず廃業に至ることを意味します。

 この状況を中小企業の事業承継という面から捉えると、

1. 60歳代以上の経営者の半数超が後継者不在で将来が展望できない
2. 後継者を決定し、育成し、社内外のステークホルダーの信頼を得て経営を引継
  ぐには長い時間がかかる
3. 60歳代の経営者の多くが団塊の世代の人達であること
4. 後継者不在で廃業となった場合は
  (1)雇用喪失につながる
  (2)その地域の事業所が減り地域の活性化が減速する
  (3)金融機関の取引先が減り、地域内で資金の流動性が乏しくなる
  (4)大事な技術・技能の伝承がストップする

等の問題が発生してきます。

 地域の活性化はその地域の中小企業等が安定して元気企業という存在であるとい
うことが必要不可欠な要素と言えます。

 千葉県事業引継ぎ支援センターはこのような「後継者不在 イコール 廃業」とい
う図式を壊し、これまで以上に地域を活性化させる存在を目指し、中小企業庁が設
置した組織です。

次回は「千葉県事業引継ぎ支援センターの役割」について詳しく解説いたします。


           第2回 千葉県事業引継ぎ支援センターの役割


 事業引継ぎ支援センターの設置は、事業活動の継続について課題や悩みを抱えている
中小企業者の経営資源を、意欲ある中小企業者に引継ぎ、有効活用し、地域経済で大き
な役割を果たす中小企業者の活力の維持に資することを目的として、経済産業省が予算
化し平成23年度よりスタートした事業です。
 千葉県では平成27年7月1日に設置され、10月1日現在では37都道府県に置かれています。

 具体的に、事業承継に関わるどんな相談があるのか例を挙げると、

 1.子供・社員に事業を承継させたいが、株を含めどうしたらいいのかわからない
 2.後継者がないので廃業を考えているが、一方では社員の生活を守れなければなら
   ず、どうしたらいいのかわからない
 3.知人の会社が事業を引き継いでくれると言っているが具体的に何をどうしたらい
   いのかわからない
 4.会社を譲渡したいがどうしたらいいのかわからない。譲渡の進め方についてアド
   バイスが欲しい
 5.外注製作を内製化するため買収を考えているが売主を探してほしい
 6.新分野進出のため既存の会社を買収したい

 等々となります。

 これらの悩み・課題に対し当センターでは、まず、相談の申し込みをいただき、窓口
に相談に来ていただきます。
 窓口では、会社の状況、経営者の意向をお聞かせいただき、具体的な課題を整理し、
経営者と同じ認識を持ったうえで、親族内承継、第三者承継、M&A等の事業引継ぎに関わ
る選択肢をご提示いたします。
 また、承継に当たって解決しておかなければならない問題については、外部の民間専
門家の助言も得ながらスムーズな事業承継の実現を目指します。
 さらに、M&Aを希望される場合は、譲渡企業情報もしくは譲受企業情報をノンネームで
中小企業基盤整備機構のデータベースに登録しマッチング支援をいたします。

次回は「事業承継対策の進め方」について詳しく解説いたします。


                         第3回 事業承継対策の進め方


事業引継ぎ支援センターが行う事業承継に関わる相談では、基本的に次のSTEP
で進めさせていただきます。


<STEP1 現状の把握>
 (1)会社概要の把握
 (2)株主、親族関係の把握
 (3)個人財産の概算把握等

<STEP2 承継方法・後継者の確定>
 (1)親族内に後継者候補がいるか
 (2)社内に後継者候補がいるか、
 (3)後継者候補の能力・適正はどうか
 
<STEP3 事業承継計画の作成>
 中長期の経営計画に事業承継の時期、具体的な対策(「法定相続人及び相互の人
間関係、株式保有状況の確認」「相続財産の特定・相続税額の試算・納税方法の検
討」等)を盛り込んだ「事業承継計画表」を作成します。


 これらのSTEPで事業承継を進めていくことになりますが、「親族内承継」「親族
外承継(従業員等)」「親族外承継(第三者)」でそれぞれ検討しなければならな
いが点が異なります。

 「親族内承継」「親族外承継(従業員等)」では、内容は異なりますが、関係者
の理解、後継者教育、株式・財産の分配、個人保証・担保処理等について。
「親族外承継(第三者)」では、マッチングの検討、M&A、会社売却価格の算定等に
ついてです。
 どれ一つとっても難解と言える課題を処理していかなければなりません。

 いずれにしても事業継承をスムーズに行うためには、長い時間をかけて計画的に
一つ一つの問題をクリアにしていく努力が大切となります。
 会社を売却する場合、M&Aでといえば簡単と思われるかもしれませんが、これに
は多額の手数料がかかり中小・小規模企業の皆様には大きな負担となります。

 事業引継ぎ支援センターでは、登録した民間機関によるM&Aにも対応しますが、
譲渡側と承継する側の間に専門家(弁護士、税理士、公認会計士等)に介在しても
らいマッチングを行う対応もいたします。

 事業承継でのお悩みの方、是非ご相談してみてください。

                      千葉県事業引継ぎ支援センター
                         総括責任者   梅澤道博
                         総括責任者補佐 田仲辰夫

千葉県事業引継ぎ支援センター ホームページ
http://r18.smp.ne.jp/u/No/373169/2AZIE0gbgt70_8788/373169_151001024.html

 以上3回にわたって「経営者のための事業承継」をお送りいたしました。




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