株式会社国際情報ネット 会長 尾形 廣秋
第1回「デジタル化『あったらいいな』を探しましょう。」(2025/7/17発行 第1022号 掲載)
第2回「課題を洗い出し、優先度の高いものからデジタル化に挑戦」(2025/7/31発行 第1024号 掲載)
第3回「拠点のオンライン化による一元管理の効果」(2025/8/14発行 第1026号 掲載)
株式会社国際情報ネットの尾形 廣秋と申します。中小企業が無理なく取り組めるデジタル化のポイントと、現場目線の活用方法についてお伝えしていきます。
ITは今や中小企業にとっても必要不可欠な存在であり、スマートフォンやパソコンは日々の業務開始の合図として当たり前に使われています。しかし、社内課題や時間不足、IT操作への不慣れから「必要と分かっているのにデジタル化を進められない」という声が多いのも事実です。通信機器やネット環境が整っているのに活用しきれていない小規模事業者も少なくありません。
しかし、少子化や人手不足が深刻化する中で、生産性向上と売上確保のためにはデジタル化による業務改善が必須です。重要なのは「無理な計画を立てず、今必要なことから優先して取り組む」ことです。デジタル化を活用し、社内状況を正確に把握しながら次の戦略を描き、実行する力が求められています。
私自身が支援した現場でも、KPI(重要業績評価指標)や売上・利益などの数字を即時に把握できる体制を作ることが、企業の活性化と経営改善につながってきました。
現状の課題を洗い出し、優先順位を決め、「こんな仕組みがあったら便利だ」というところから小さく始めることをおすすめします。
例えば、多くの企業で課題となるのは人・物・金の管理です。これらが適切に把握できないと、日々場当たり的な対応となり、経理会計でBS・PL・CFの理解が曖昧なまま不安を抱えながら日々の業務を続けることになります。変化に対応し、想定外の事態にも備えるためには、経営数値を可視化し、日々のKPI確認を習慣化することが重要です。
そのための第一歩として、社内の基幹業務を整理し、以下のような取り組みからデジタル化を進めてみてください。
1.従業員管理(個人情報・勤務実績など)のデジタル化
2.見積・請求書発行の電子化によるペーパーレス化
3.在庫・発注管理の効率化
4.自社ホームページの活用で情報発信力を強化
これらは大きな設備投資がなくても始められます。大切なのは、自社に合ったペースで段階的に進めることです。
最後に、自社の成長を目指すには時代の流れに合わせた変化が必須です。そのためには、労力・時間・資金の投資が必要であることを理解し、恐れずに取り組むことが重要です。
次回以降は、県内の中小企業で私が伴走支援してきた具体的なデジタル化事例(外構インテリア卸売業、そろばん塾、建築設計事務所、東日本地域120病院での検診システム導入など)をご紹介していきます。
身の丈に合った一歩から、自社の未来を切り拓くデジタル化を共に進めていきましょう。
株式会社国際情報ネットの尾形廣秋です。
第2回となる今回は、事例も交えてお話します。
ITは会社繁栄の“カギ”となる存在であり、未来の成長を目指すためには、時流に沿って順応することが大切です。困りごとや課題を整理すると、デジタル化の必要性を実感されるのではないでしょうか。
ただし、検討にあたっては、すべての課題を一度に解決しようとせず、優先度の高いものから取り組むことをお勧めいたします。
例えば、表計算ソフト(Excel)を活用し、従業員の勤務状況(タイムカード)や見積書・請求書などの受発注書をデジタル化するといった、無理のない範囲から始めてはいかがでしょうか。
デジタル操作に不慣れでも、目的を明確にして、繰り返し取り組めば適応できるはずです。
重要なのは、導入初期には労力・時間・資金という3要素の投資が不可欠であることを理解し、我慢強くチャレンジを続けることです。こうした取り組みが、自社の将来の経営力向上につながります。
〇IT導入事例(事例1)
弊社が現在も保守・運用支援を行っている企業の事例をご紹介します。
千葉県内に6つの営業所を展開する外構工事・エクステリア施工部材卸売・施工企業の事例です。
IT導入以前、同社では仕入れや受発注処理をすべてアナログで行い、業務は紙ベース、外部との通信手段もFAXが主流でした。取引先メーカーの電子システム化により、デジタル化への対応が求められたことがIT導入のきっかけです。
社内には膨大な紙の受発注書があふれ、ペーパーレス化が進んでいませんでした。顧客対応もFAX中心で、用紙の紛失や棚卸し作業に時間がかかるなどの問題が頻発。
さらに、夕方以降の残業時間も膨らみ、業務効率化と可視化を目的にIT導入が決断されました。
現在では、6拠点の営業所の売上と社員の稼働状況を本社管理部門で一元管理できる基幹システムが構築されています。導入時には、現場社員のPC操作への不慣れさや作業ロスがありましたが、経営陣が主導して勉強会・操作説明会を繰り返し、安定した運用を実現しました。
〇デジタル化導入の進め方
社内課題を洗い出し、優先順位を明確にしながら一歩ずつ進めることが重要です。
すべての課題を一度に解決しようとすると学習や慣れが追いつかず、中途半端になる恐れがあります。
経営層側は、労力・時間・資金という3要素の投資が不可欠であることを理解し、社員と課題を共有しながら、無理のない取り組みを進めるべきです。大切なのは、目標に向かって粘り強く邁進する姿勢。
スピードや生産性を高めるためにも、デジタル化の導入は不可欠です。
次回(第3回)では、そろばん塾各拠点のオンライン化による一元管理の効果についてご紹介します。
株式会社国際情報ネットの尾形廣秋です。
第3回となる今回も、事例を交えてお話します。
近年、「オンラインシステム」や「ネットワーク」という言葉を耳にする機会は多いと思います。
しかし、多くの方は「大企業だけが扱う特別な仕組み」と思っているのではないでしょうか。
実際には、個人や中小企業の業務でも、インターネットを通じて仕事を進めることが当たり前になっています。例えば、SNSを使った情報共有や、複数拠点(営業所など)を持つ事業所、または取引先との連携において、スマートフォンやパソコンを活用し、社内LAN(Local Area Network)経由でインターネットに接続することも、オンラインネットワークの一形態です。
従業員との業務連携・情報共有を円滑にし、コストを最小限に抑えてネットワークを構築することで、業務効率化や予定・計画の管理が可能になります。以下に具体例をご紹介します。
・SNSの活用(例:グループLINEで関係者と情報共有)
・グループウェアの導入による稼働状況管理(無償版の活用も可)
→社内外を含む全社員の活動状況を把握し、同時に情報共有が可能。
複数拠点を持つ中小企業がオンラインネットワーク化を導入すると、離れた拠点の人員配置や稼働状況を全社で共有でき、管理の手間が省けます。スマートフォン対応のツールも多く存在します。
〇IT導入事例(事例2)
現在、全国46拠点を展開するそろばん塾において、拠点のオンライン化による一元管理・保守・運用支援を行っています。
導入前は、各拠点で生徒管理や講師勤務管理を紙ベースで集計していました。各拠点で表計算ソフトに入力したものを印刷し、それを本部で転記する方式でしたが、この手作業による転記ミスが発生し始め、事業拡大や新規拠点設置に影響が出始めていました。
そこで、オンライン自動化システムを導入し、全拠点の稼働状況をリアルタイムで把握できる一元管理ネットワークを構築。入力ミス防止と作業効率化を実現しました。導入時にはグループウェアも組み込み、全体の状況を可視化できる仕組みを整えています。
現在では、従来のサービス運営に加え、オンラインそろばんスクールも展開し、事業規模拡大に合わせた体制を維持しています。また、近年増加しているインターネット上のウイルスやサイバー攻撃への対策として、定期的な監視機能の強化やセキュリティ対策を講じています。弊社もこの分野で継続的に支援を行っています。
〇デジタル・オンラインネットワーク化導入の注意点
オンラインネットワークは、インターネットを介して外部と通信するため、情報漏洩のリスクを伴います。漏洩は重大な事故や事件につながる可能性があるため、以下のような対策とルール遵守が不可欠です。
・市販のウイルス対策ソフトを導入するか、最低限Windows Defender(Microsoft社提供の無償ウイルス対策ソフト)を有効化する。
・グループウェア内に、個人を特定できる情報を入力しない。
今回は、拠点のオンライン化による一元管理の効果と導入事例をご紹介しました。
次回(第4回)は、「紙CAD図面や電子データの保存による共有化・一元管理の効果」についてお届けします。
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