

AOKIマネジメントサポートパートナー代表 青木 英樹
第1回 「儲かってますか」~己を知る(現状分析)/何が儲かっているのか(粗利率)~(2026/10/15発行 第1082号 掲載)
中小企業診断士の青木英樹と申します。
製造業の経営改善、販路開拓(国内/海外)、売価原価管理・計算、新製品開発を得意分野としております。
元々、モーターや電子部品の営業マンとして30年従事し、中小企業診断士として独立して6年目を迎えました。
今回のテーマ『日々の見積が会社経営・決算をつくる』ということを昨今、中小企業の支援現場で痛感しております。本連載では、実際の現場で体験したことをベースに話を進めて参りたいと思います。
数年前、ある企業の経営者から依頼がありました。
「ともかく、この製品が本来いくらで売るべきなのか知りたい」とのお話でした。
会社経営が赤字の中、昔ながらの「勘」による原価計算に不安を感じておられたようです。4回の面談の中で「現状分析」を行ったところ、現在の価格は様々な経費が価格転嫁されておらず、その差額が赤字であることが判明しました。
面談を通して、「勘」だけに頼らない売価原価計算のロジックが分かり、腹落ちされたとのことでした。
また、ある企業の経営者と4年にわたって毎月1回打合せし、売価原価管理・計算や販路・製品の“選択と集中”を行いました。
こちらもまずは、「現状分析」を行いました。販路別製品別の売上高と売上数量から平均売価を計算し、平均売価の高低から赤字・黒字・収支トントンを類推することから始めたのです。この企業では、販路別製品別の売上高と売上数量データはあっても、製品ごとの粗利率や(経常)利益率を把握できない状況だったからです。
面談を通して、製品ごとの粗利率を整理し、儲かる(粗利率の高い)製品を仕分けることができました。
企業ごとに要望や困りごとは様々ですが、中小企業の現場(特に、製造業の現場)では、共通している課題があると感じます。
◆「現状分析」が出来ていない。
すなわち、なぜ儲かっているのか儲かっていないのかが分からない。
◆「粗利(率)」を意識していない。
すなわち、どの製品・商品が粗利率が高い(儲かっている)、粗利率が低い(儲かっていない)か、知らないし意識してこなかった。
この結果、経営に対する漠然とした不安にいつも追われている経営者が多いと感じました。
面談の中で「決算書を見るのが怖い」と言われる経営者とお会いしたことがあります。
決算書を専門家に見てもらい、会社が「儲かっているのか」否か、儲かっていないのなら「病根」がどこにあるのか早期発見、早期治療が必要です。
まずは、現状分析で己を知り(経営の良し悪しを知り)、その原因(悪い場合は「病根」)を掴むことが重要です。経営が良い場合でも、なぜ良かったのかの分析も非常に重要です。その上で、進むべき方向性を決めることになると思います。
この場面で意外と重要なのは、「社外の目」だと思います。端的に「原因(病根)」を直言してくれる専門家に相談することが重要です。
第三者である専門家の言葉だからこそ、素直に受け止められることがあります。こうしたものもうまく活用しながら、現状分析や粗利率の把握を進めていきましょう。
次回は、「値上げ前にやるべきこと」~既存顧客を区分する~と題して話をしてみたいと思います。
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