おもしろインターネット活用講座 千葉県産業振興センター
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RFID(ICタグ)


  5.ICタグの課題

 ICタグはこれからのユビキタス社会での活躍が期待されています。しかしながらその課題は少なくなく、次にICタグが発展していくための課題について説明します。


  • 技術的課題
    • ICタグは、非常に小さなタグと微弱な電波でやりとりします。このため、リーダライターのアンテナ設置には細かな調整が必要となる場合があります。また電波の特性からして、金属で囲まれた内部と交信できないのは当然です。さらに、金属片の表面にICタグがある場合も障害となる可能性があります。

    • 読み取り精度については実証実験で、「離れたタグの一括読み取りには限界がある」という結果であったため、その精度を上げるために小分けして読み取ったり、アンテナを近づけたりといった運用上の工夫が必要とされています。

    • 技術的なものとは言い切れませんが、電磁波不安に関する課題もあります。電波機器が心臓ペースメーカなどの電子機器に影響を及ぼす可能性が指摘されています。

  • ICタグ関連の標準化
    • 国際的に使用可能な周波数帯の課題です。欧州、米国では900MHz帯をGlobal Tagとして使用されることになっていますが、この周波数帯は日本では携帯電話の周波数帯にあたり、大きな問題に発展する可能性があります。

    • ICタグを利用した運用システムの標準化に関しては、「EPCグローバル(旧オートIDセンター)」と「ユビキタスIDセンター」の二つの団体を中心に進められていますが、今後はいかに2団体間の技術や規格(IDコード体系、モノを識別及び認識する技術)の調整を図っていくかが課題です。
                        
  • コストの課題
    • ICタグの価格がバーコードと比べて割高なことが、企業によるICタグの実用化を制約する要因となっています。ICタグが商品の1つ1つに附属するようになるには、ICタグの価格が低下することが条件と考えられています。一気に普及が進んだJR東日本の「Suica」の場合は、JRの自動改札という閉じた範囲で利用されるものであるため、比較的ビジネスモデルが簡単です。しかし、製造段階での在庫管理や流通経路、販売管理、家庭での冷蔵庫の中身のチェック、ゴミの分別、さらにはリサイクルと幅広い活用が可能なICタグのメリットを全員が享受できれば、ICタグの価格が下がり、さらに普及するビジネスモデルが確立できます。
        
  • プライバシー保護
    • ICタグには様々な情報が書かれ、しかもありとあらゆるモノに付けられることが想定されています。消費者の持っているモノに付与されたICタグ情報が第三者に読まれることによって、プライバシー侵害の可能性があると言われています。また本人の知らないところで、勝手に個人のプライバシーにかかわる情報(購買情報、購買傾向、行動履歴等)が利用されて、漏洩する可能性があるとも言われています。ICタグビジネスを取り巻く事業者には、ユーザへの事実説明、明確な運用ポリシーなど、ユーザがICタグを安心して使用できる環境づくりが求められています。

 これらの課題がクリアされるにはある程度時間がかかり、まずは活用が比較的容易な領域(アパレル、出版、家電、食品等)から導入が進められていくと考えられます。



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4.生鮮食料品での実証実験 戻る
-- 目次 --
1.はじめに
2.ICタグとは?
3.活用が進むICタグ
4.生鮮食料品での実証実験
5.ICタグの課題
6.今後の予測

6.今後の予測

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