ARPANETでは、無数の通信相手と通信が行えることを目的にしていましたが、コンピュータによって通信手順が異なるため
簡単に相互接続ができないという問題がありました。
そこで「パケット通信」という新たな通信手順が考え出されました。
パケット(小包)通信とは、情報をある単位の大きさに分割し、「発信元:どこから来たのか」、「発信先:どこへ送るのか」
という情報(パケットヘッダ)を付加してネットワークに流すという通信手順です。
小包を郵便局から発送するのと似ていますね。
パケット通信の大きな特長は以下です。
・発信元と発信先の情報が重要であり、どのような経路を通るかは状況によって変わる。
・パケット通信を司るコンピュータが 情報を次々にバトンタッチして送り出す方式をとる。
これを「バケツリレー」方式と言います。
この特長により、途中経路が変更になっても迂回経路さえあれば情報を送り届けることができます。
また、万一途中で失敗しても、発信元に正常に情報を届けることが出来なかった旨通知されます。
ARPANETではこのパケット通信の実験が繰り返され、やがて70年代に入りDARPA (DefenceARPA:ARPAから組織変更された)によって
「TCP/IP」というプロトコルが標準化されました。
1980年になるとARPANETでもこのTCP/IPが採用され、その後インターネットでの 標準プロトコルとして今日に至っています。
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今日のインターネットへ |
ARPANETはその本来の目的とは裏腹に、多くの研究者達が自分達の学術研究のために
便利なコミュニケーション手段として盛んに利用していました。 そして東西冷戦構造の
崩壊により、本格的に学術用ネットワークとして質的変化を迎えました。
学術用ネットワークとして本格稼動し始めたインターネット上では、MAIL,FTP,WWW 等様々なIT(情報技術)が生まれ、標準化されてきました。
学術用ネットワークとしてのインターネットはどの様に運用されてきたのでしょうか。
インターネットでは、TCP/IPを利用しているため接続されているすべてのコンピュータ間で コミュニケーションをとることができます。
その際、自分が受発信したい情報は、途中に何も関係のないコンピュータを介して(リソース を消費して)目的地に到達します。
同様に全く関係ない人達の通信についても、偶然途中経路に 自分のコンピュータが存在していれば、リソースを提供しなくてはなりません。
このように(学術用)インターネットの世界では、相互依存の関係にあり、運用、つまり ネットワーク経路の保全についてもボランティアに
よって成り立っていました。
このため特定の誰かが利益を上げるような用途、即ち商用には利用できないのが原則と なっています。
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ネットワークビジネスの舞台へ |
学術用途でのネットワークとして発達してきたインターネットでしたが、ワールド
ワイドに広がるネットワークインフラ、オープンに利用できる 数多くのネットワーク
アプリケーションの登場を前に、ビジネス用途のニーズが高まっていました。
まず最初に反応したのがコンピュータハードウェアメーカーでした。学術研究用に ネットワーク接続機能を有した高性能
ワークステーションが開発、生産され、更に オープンシステムにおけるサーバや、LAN端末として大型汎用機に替わってシェアを 拡大していきました。
またLANや、インターネットにおける通信制御を専用に受け持つ機器も登場しインター ネットの拡大を支えると共に多くのベンチャー企業を育ててきました。
こうした中で、企業においてもNFS等インターネット標準となるような技術が開発 されました。
しかし、ネットワーク自体を商業目的に利用することはできなかったことが、それ以上の 進展を阻害していました。
そうした中で、商業目的にも利用できる高速通信網の完成により「商用インターネット」 が登場し、インターネット接続を代行する会社
(プロバイダ)が数多く登場しています。
また1993年には米政府からもゴア副大統領が中心となり「情報スーパーハイウェイ構想」が発表され、 国としてインターネットへの
取り組みを明確にしたことが、企業レベルでのインターネット利用を 活性化した要因となっています。 |
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